金属探知機
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【雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2】 インフラに見るモノの技術 >
空港の搭乗ゲートを通る際、警告音が鳴った経験がある人も多いだろう。小銭や鍵をポケットにしまい忘れていた場合などに、警報音が鳴る。この警報音は金属探知機が検知し、発したものである。金属探知機は磁力の変化で金属の有無を判定する装置だ。探知機の基本部分は送信コイルと受信コイルである。送信コイルに高周波(こうしゅうは)の交流電流を流し、それから生まれる磁気を受信コイルが観察する。金属が近づくと磁気に乱れが生じ、その乱れを受信コイルが検知するのである。ちなみに、空港の搭乗ゲートや食品工場に設置されている探知機は受信コイルが二つ備えられ、検出の速さと精度を向上させている。空港ではスピードが求められ、食品工場では精度が求められる。搭乗ゲートでは検査に時間がかかっては困るし、食品では小さな針先でも入っていたらたいへんである。そこで、二つの受信コイルを置き、両方を比較して金属を検知することで精度とスピードを上げているのだ。では、なぜ金属の有無によって受信コイルが受ける磁力が変化するのだろう。それは、送信コイルの高周波の磁力から金属の表面に渦電流(うずでんりゅう)が生まれるからだ。IH(アイエイチ)調理器もこの電流を利用しているが、その電流は送信コイルの作る磁力を打ち消す方向に電磁石を作る。すると、金属が存在しない状態よりも受信コイルで検知する磁力は小さくなる。この変化を測定するのである。空港の話に戻そう。最近はプラスチック爆弾、セラミックナイフなど、金属を含まない凶器が使われる。そこで、空港ではさまざまな検知器の導入を試みている。例えば、ミリ波と呼ばれる電磁波を利用した探知装置がある。この電磁波は衣服の下を透視できるため、それを照射・受信することで、隠した不審物を探知できる。テロ対策にはたいへん有効だ。しかし、その透視性ゆえに人が裸同然になる。安全上有効とはいえ、プライバシーの問題で賛否の議論も渦巻いている。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2」涌井良幸・涌井貞美 |
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