ダム
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【雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2】 インフラに見るモノの技術 >
巨大建築物の例にもれず、大きなダムは人を魅了する。緑に囲まれた湖と巨大なコンクリートの人工物、その二つのコントラストが織り成す景観は、観光地になる条件を備えている。ダムには、美しいアーチを描いたダムや、単に岩が積み上げられたダムなど、さまざまな種類がある。その代表的な形を見てみよう。重力式コンクリートダムは、コンクリート自身の重さによって、水がダムを押す力に耐えられるように造られたダムだ。堅(かた)い岩盤のところに造られ、日本ではもっとも多く見られる。アーチ式コンクリートダムは、上流側に弓なりになったダム。水がダムを押す力をこの形によって両岸で支える。両側の岩盤は堅くなければならないが、コンクリートの量が重力式ダムの3割程度ですむため経済的だ。フィルダムは、土や岩のかたまりを積み上げて造られたダム。中心部に土で遮水壁(しゃすいへき)を設けたり、表面をコンクリートなどで遮水したりしている。基礎地盤があまり堅くないところでも建設できる。ダム建設には、おもに三つの目的がある。利水、治水、そして発電である。単一の目的に建造されたダムもあるが、多目的ダムといって、複数の目的を持つダムもある。ここでは治水用ダムに焦点を当ててみよう。日本の川は急峻(きゅうしゅん)で、上流に大量の雨が降ると、膨大(ぼうだい)な水量が一気に下流に流れて洪水になる危険がある。そこで、流入する水量の一部を一時的にため込んで下流へ流す水量を減じ、下流における洪水被害の防止を図る。これが治水用ダムの役割だ。この調整機能を洪水調節という。簡単にいえば、豪雨でたくさん水が流れてきたら、それをダムでいったん受け止め、安全な量だけ下流に流すということである。この機能を働かせるためには、流入する水の量を監視したり、大量の雨が予想される前には水を流したりと、常に周囲に気を配らなければならない。ダム管理は、日本の国土を影で守っているのだ。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2」涌井良幸・涌井貞美 |
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大好評を得た既刊『身のまわりのモノの技術』の待望の続編! 「日頃よく使っているモノ」あるいは「意識しなかったけど、じつは身近にあるモノ」などに活かされている“技術・しくみ"について、豊富な図版をまじえながらシンプルに解説する本。 モノの技術やしくみが少しでもわかると、そのモノへの愛着と興味が増し、何気なく手にしたり触れたりするモノが、より身近になります。 本書を通じて、「科学技術の結晶」たちのスゴ技を、とくと堪能してください! |
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