トランシーバー
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【雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2】 実用アイテムに見るモノの技術 >
「トランシーバー」というと意味が広いが、工事現場やイベント会場でよく見られる特定小電力無線と呼ばれる機器を指すのが一般的だ。小電力という言葉からもわかるように、出力は10ミリワットに制限され、届く範囲はせいぜい数百メートルである。しかし、免許や届け出が不要なのはありがたい。携帯電話のようにダイヤルする必要もないし、電話局との契約も不要である。小範囲の工事現場の緊密な連絡、客の誘導、イベント警備の通報などには便利なアイテムである。使い方は簡単で、電源を入れて互いのチャンネルを合わせるだけ。単信方式(シンプレックス方式)と複信方式(デュプレックス方式)があるが、多くは前者だ。単信方式は糸電話と同じで、相手が話しているときには自分は聞く必要があり、同時には話せないのだ。そのため、携帯電話に慣れている人は戸惑(とまど)ってしまうこともある。「今、ランナーが通過。どうぞ」「了解です。どうぞ」というように、「どうぞ」などの言葉を入れてリズムをとる必要がある。単信方式のトランシーバーの多くには、マイクロフォンが見当たらない。どうやって自分の声が相手に伝わるのかというと、マイクロフォンとスピーカーが共用されているのだ。スピーカーとマイクロフォンは基本的に同じ構造をしている。音声とは「空気の振動」だが、スピーカーは電気を空気の振動に、マイクロフォンは空気の振動を電気に変換する装置である。つまり、同じモノなのだ。マイクロフォンとスピーカーの共用は家庭用インターホンでも採用されている。また、多人数が出席するWeb会議などでもよく利用されている。昔のトランシーバーは、エリア内で通話する人の会話が聞こえてしまった。これは、チャンネル数が少ないため仕方のないことだった。近年は、この分野でもデジタル化が進んでいる。おかげで音声をスクランブル化でき、他に話が漏(も)れないようになっている。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2」涌井良幸・涌井貞美 |
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大好評を得た既刊『身のまわりのモノの技術』の待望の続編! 「日頃よく使っているモノ」あるいは「意識しなかったけど、じつは身近にあるモノ」などに活かされている“技術・しくみ"について、豊富な図版をまじえながらシンプルに解説する本。 モノの技術やしくみが少しでもわかると、そのモノへの愛着と興味が増し、何気なく手にしたり触れたりするモノが、より身近になります。 本書を通じて、「科学技術の結晶」たちのスゴ技を、とくと堪能してください! |
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出版社:
雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2[link] |