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圧力鍋
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雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2暮らしに見るモノの技術 >

圧力鍋とは、文字通り「圧力をかけて調理する鍋」のことである。調理時間を大幅に短縮できるだけでなく、ビタミンや素材の色を保てて、おいしく料理できるので人気がある。圧力鍋の構造はいたってシンプル。鍋を密封する蓋(ふた)に小さな穴をあけ、その穴の閉じ具合をおもりやスプリングで調整する。素材を入れて火にかけると鍋の内側の圧力は上昇し、この穴の調整加減で圧力は高く一定に保たれる。例えば、家庭用の圧力鍋では、内部が2気圧程度になるように調整されている。ちなみに、1気圧とは平地で受ける大気の圧力である。ではなぜ、圧力を高くすると調理時間が短縮されるのか。それは、鍋の中の圧力が高いと水の沸騰(ふっとう)が抑えられ、高温調理が可能になるからである。沸騰とは、水の分子が熱のエネルギーをもらって勢いよく飛び出す現象だ。圧力が強いと分子はなかなか外に飛び出せない。そのため、圧力をかければ沸騰温度は高くなる。実際、圧力が1気圧なら水の沸騰温度は100度だが、2気圧にすると120度くらいの高温になる。つまり、圧力鍋では120度での調理が可能なのだ。調理時間が短縮される秘密はここにある。圧力鍋は高山でとても重宝する。高度が高くなって空気が薄くなると、気圧は低くなり、水の沸騰温度も低くなってしまう。圧力鍋とは逆の現象が起きるのだ。例えば、富士山頂では空気の圧力は地上の3分の2ほどになり、水は87度程度で沸騰する。これでは、食材はいくら火を通しても生煮(なまにえ)の状態になってしまう。圧力鍋を利用すれば、この問題は解決するわけだ。圧力と沸騰の関係は、フリーズドライという食品の乾燥保存技術にも応用されている。凍らせた物体を気圧がほとんどない部屋に置き、水分を一気に沸騰させて気化させ、乾かす方法である。栄養分の変化はほとんど起きず、水や熱湯をかければすぐに元に戻せるため、カップラーメンの具の製造などに利用されている。


中経出版
「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2」
JLogosID : 14820744


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【この辞典の書籍版説明】

「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2」涌井良幸・涌井貞美

大好評を得た既刊『身のまわりのモノの技術』の待望の続編! 「日頃よく使っているモノ」あるいは「意識しなかったけど、じつは身近にあるモノ」などに活かされている“技術・しくみ"について、豊富な図版をまじえながらシンプルに解説する本。 モノの技術やしくみが少しでもわかると、そのモノへの愛着と興味が増し、何気なく手にしたり触れたりするモノが、より身近になります。 本書を通じて、「科学技術の結晶」たちのスゴ技を、とくと堪能してください!

出版社: 雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2[link]
編集: 涌井良幸・涌井貞美
価格:648円+税
収録数:
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発売日:
ISBN: 978-4806148029