ゴミ収集車
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【雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2】 乗り物に見るモノの技術 >
ゴミ収集の日、家庭から出たゴミを回収してくれるゴミ収集車。作業員がゴミを投入すると、回転板が器用にそれを奥に押し込んでくれる。ゴミ収集車の中身はどうなっているのだろうか。よく目にする「クリーンパッカー方式」の収集車(略してパッカー車)で、そのしくみを説明しよう。パッカー車は、おもに燃えるゴミを収集するのに利用される。後部に回転板が2枚配置され、これが組み合わさって回転することで、ゴミを運転席側に押し込む。収集を終えてゴミ処理場に戻ったら、詰め込んだゴミを仕切りの排出板(はいしゅつばん)で外に押し出す(ダンプカーのように、荷台を斜めにして圧縮ゴミを排出するものもある)。パッカー車以外に街中でよく目にするのが、プレスローダー方式のゴミ収集車だ。左ページ上図のように、高い圧縮性能が自慢(じまん)の方式である。ゴミ収集車には、ほかにもいくつかの方式があり、大きさの違いもあるが、この多様性には理由がある。一つは、集めるゴミ・集める地域に適した方式と大きさが要求されるという、至極(しごく)当然の理由だ。もう一つ、隠れた理由がある。ゴミ処理施設の建設費が高騰(こうとう)しているからだ。ゴミ処理施設、特に焼却施設は公害対策のために高度な技術が要求される。また、エコ社会実現のために、燃やした廃熱で発電する施設を併設することも時代の流れだ。当然、建築コストは膨大(ぼうだい)となり、小さな自治体ごとに建設するのは財政的に困難だ。そこで、いくつかの自治体がまとまって一つのゴミ処理施設を作り、一手に処理するというネットワーク方式が一般的になりつつある。そのネットワークに対応するには、多様なゴミ収集車が必要になる。家庭からのゴミは、まず小型のゴミ収集車でゴミ中継施設に集め、そこでさらに圧縮して大型のゴミ収集車でゴミ処理施設に運ぶ。このようにして、効率的なゴミの移動と処理を可能にしているのである。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2」涌井良幸・涌井貞美 |
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大好評を得た既刊『身のまわりのモノの技術』の待望の続編! 「日頃よく使っているモノ」あるいは「意識しなかったけど、じつは身近にあるモノ」などに活かされている“技術・しくみ"について、豊富な図版をまじえながらシンプルに解説する本。 モノの技術やしくみが少しでもわかると、そのモノへの愛着と興味が増し、何気なく手にしたり触れたりするモノが、より身近になります。 本書を通じて、「科学技術の結晶」たちのスゴ技を、とくと堪能してください! |
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雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2[link] |