電気ストーブ
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【雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2】 家電に見るモノの技術 >
一般に、暖房器具は伝導型、対流型、放射型の三つのタイプに分けられる。近年、家庭用暖房の定番となったエアコンやファンヒーターは対流型だが、これらの人気に隠れて目立たないものの、電気ストーブもよく売れている。手軽に持ち運べ、暖めたい場所をすぐ暖めてくれる。また、空気を汚さないため、狭い密閉(みっぺい)した場所でも暖をとれる。そんな性質が、家庭用の暖房器具として支持を集めているのだろう。「昔ながら」の電気ストーブは石英管(せきえいかん)ヒーターを熱源にしている。石英管ヒーターはクォーツヒーターとも呼ばれるが、ニクロム線を石英ガラスの管で覆ったものだ。今はトースターなどの電熱器でよく利用されている。この古典的なヒーターには、暖まるのに時間がかかり、寿命が短いという欠点がある。そこで、これを改良したさまざまな電気ストーブが開発されている。石英管ヒーターを改良して寿命を長くしたのがシーズヒーターだ。電気ケトルの項(20ページ)でも登場したヒーターで、10年以上は利用できる。ただし、高価というのが難点だ。石英管ヒーターの、速暖性に欠けるという欠点を克こく服ふくしたのがハロゲンヒーターである。ハロゲンガスを封入し、タングステンという金属をフィラメント(発熱体)にした石英管がヒーター源だ。スイッチONと同時にすぐに赤く輝き、暖房を始める。しかし、粗悪品による火災事故や、カーボンヒーターなどの登場で人気が下火になった。カーボンヒーターは、ピュアタンヒーターとも呼ばれて人気を集めている。カーボンフィラメントを不活性ガスとともに石英管に封入したヒーターである。速暖性に優れ、暖かさを感じさせる遠赤外線を豊富に放出する。グラファイトヒーターと呼ばれるストーブもこれと同属だ。カーボンヒーターやグラファイトヒーターなどを遠赤外線ヒーターと宣伝するメーカーもある。だが、その定義は明確ではない。ヒーターは、多少なりとも遠赤外線を出しているからだ。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2」涌井良幸・涌井貞美 |
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