電気ケトル
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【雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2】 家電に見るモノの技術 >
コーヒーカップ1杯のお湯が1分足らずで沸く便利さから、電気ケトルと呼ばれる製品がブレイクした。お茶の文化が普及している日本では、いつでもお茶が飲めるよう、ポットにお湯が沸いているのが普通だった。しかし、お茶を入れる習慣がない家庭が増えている現在、必要なときに必要な量を沸かして飲むほうが確かに合理的だ。小容量の保温機能のないものを電気ケトルと呼び、保温機能のある比較的容量の大きい電気ポットとは区別する。昔から似た製品はあったが、デザインのよさと、沸く時間の短さが人気を呼んだ。沸く時間を短縮するために、使用電力量は大きい。小柄なのに1キロワットを超える消費電力がある。短時間で沸くのは当然ともいえる。例えば、ある機種(消費電力1450ワット)は、コーヒーカップ1杯分のお湯(140ミリリットル)なら約50秒(水温、室温ともに23度の水が100度に達するまでの時間)で沸くと喧伝(けんでん)する。熱効率が100パーセントなら、30秒ほどで沸く計算になる。電気ケトルの構造はいたって単純である。シーズヒーターを内容器の底面に固着し、それで加熱するのが一般的だ。シーズヒーターとは、ニクロム線を絶縁体(ぜつえんたい)で包み、金属パイプの中に埋め込んだヒーターのこと。金属を鞘(さや)(シーズ)に見立ててそう呼ぶのだ。電気ケトルは沸騰(ふっとう)すると自動的に電気が切れる。これは、温度センサーが付いているためだ。多くの電気ケトルにはサーモスタットというセンサーが付いている。これは、2種類の金属を張り合わせたバイメタルと呼ばれる構造を持っている。異なる金属の熱膨張(ねつぼうちょう)は異なるため、温度が高まるとバイメタルがたわみ、スイッチを切るのだ。バイメタルによる温度調整は、電気こたつやトースターなど、さまざまな電熱器で利用されている。しゃれたデザインの電気ケトルだが、その形が不安定ということで、子どものやけどの事例の報告もあるようだ。取り扱いには十分気を付けたい。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2」涌井良幸・涌井貞美 |
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