サイクロン掃除機
【】
【雑学科学読本 身のまわりのモノの技術】 生活で使うモノの技術 >
サイクロン掃除(そうじ)機の最大のウリはメンテナンスフリーということ。フィルター交換の手間が不要なのだ。また、フィルターの目詰まりがないので、いつまでも吸引力が衰(おとろ)えない。サイクロン掃除機のゴミ取りの基本は、一緒に吸い込んだ空気を容器の中で強力に回転させ、高速の渦を作ることにある。この渦状の風で遠心力(えんしんりょく)を作り、ゴミを振り落すのである。遠心力とは物が回転運動をするときに生まれる力である。遊園地のジェットコースターでカーブにさしかかると、体が外側に押し出される力を受ける。これが遠心力である。遠心力は重いものほど大きく働く。ゴミと空気ではゴミのほうが重い。そこで、空気と一緒に吸い込まれて回転させられたゴミは遠心力で空気より外側に押し出され、壁面にぶつかり、壁伝いに落ちていく。こうしてゴミが分離されるのだ。このしくみからわかるように、サイクロン掃除機は高速の渦を作る必要がある。これが騒音(そうおん)を発生させる。サイクロン掃除機がフィルター式のものよりうるさいのはこのためである。遠心力を利用したものは、身のまわりにたくさんある。例えば洗濯の際に利用する脱水機。濡れた洗濯物を高速回転させ、遠心力で水をはじき飛ばしているのである。遠心力は自然の世界でも大切である。例えば「潮(しお)の干満(かんまん)」の説明に遠心力は不可欠である。これを理解するために、月を省き、地球が太陽を公転する単純なモデルを考えてみよう。地球が自転して東京が太陽に近い位置に来たとする。すると、東京湾の海水は太陽の引力に引かれて盛り上がり、満潮になる。面白いことに、このとき東京と地球の反対側でも満潮が起こっている。太陽から遠い位置にある海水はそのぶん強い遠心力を受け、太陽から遠ざかろうとして盛り上がるためだ。実際には月の引力などが加わり、潮の干満は非常に複雑になるが、遠心力の大切さは理解できるだろう。
data-ad-slot値が不明なので広告を表示できません。
【関連コンテンツ】
広告を表示できません。
【この辞典の書籍版説明】
「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」涌井良幸・涌井貞美 |
|
身のまわりの「便利なモノ」にはすべて、「便利さの理由」があります。でも、私たちはそれをよく知らないまま、日々生活していることがほとんどではないでしょうか。本書は、家電からハイテク機器、身近な家庭用品まで、私たちが日頃よく使うモノに関する素朴な疑問を図解で解説。「モノ=科学技術の結晶」たる所以がこれでわかります |
|
出版社:
雑学科学読本 身のまわりのモノの技術[link] |