リンスインシャンプー
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【雑学科学読本 身のまわりのモノの技術】 生活で使うモノの技術 >
リンスインシャンプーとは、リンスの効能をあわせ持ったシャンプーである。シャンプーは髪から脂汚れを取るもので、髪をパサパサする性質がある。それに対してリンスは髪に潤いを与えてくれる。この相矛盾する性質を一つのボトルで実現するリンスインシャンプーとは、どのようなものなのだろう。本論に入る前に、まずは普通のシャンプーとリンスのしくみを調べよう。シャンプーは158ページの石けんと同様に、親水基と疎水基をあわせ持つ分子から成り立つ。油汚れに対して疎水基を突っ込み、親水基で表面を覆って、水で洗い落とせるようにするのだ。リンスも基本的に石けんと同一構造である。違うのは、親水基の電荷(でんか)である。水中において、石けんの親水基がマイナスなのに対して、リンスはプラスなのである。そのため、シャンプー後にリンスを利用すると、マイナスの電気を帯びている髪の毛にまとわりつき、シットリ感を出すのである。また、リンスは長い疎水基を持つため、髪がまとわりつくのを妨ぎ、髪のサラサラ感を演出してくれる。以上がシャンプーとリンスのしくみだ。しかし、これらを単純に混ぜてはシャンプーとリンス成分のプラスとマイナスが打ち消し合って元も子もなくなってしまう。そこで、リンスインシャンプーには工夫が必要なのである。代表的なのが、リンス成分として陽イオン性ポリマーを利用する方法である。陽イオン性ポリマーは、陽イオンをところどころに配した長い紐のような分子である。原液中では、リンスの陽イオンとシャンプーの陰(いん)イオンが結合している。水に解かれると分解し、小ぶりのシャンプー分子がまず先兵となって髪の汚れを落とす。髪をすすいだ後には、マイナスの電気を持つ髪にプラスの電気を持ったリンス成分が取りつき、リンス効果を発揮するのだ。忙しい現代人には便利なリンスインシャンプーだが、シャンプーとリンスを別々に使うほどの効果は得られにくい。応急的に利用するといいだろう。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」涌井良幸・涌井貞美 |
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身のまわりの「便利なモノ」にはすべて、「便利さの理由」があります。でも、私たちはそれをよく知らないまま、日々生活していることがほとんどではないでしょうか。本書は、家電からハイテク機器、身近な家庭用品まで、私たちが日頃よく使うモノに関する素朴な疑問を図解で解説。「モノ=科学技術の結晶」たる所以がこれでわかります |
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