吊橋
【つりばし】
【道と路がわかる事典】 6章 橋とトンネルの雑学 >
橋を構造別にみるとほとんどが桁橋で、吊橋や斜張橋はごく小数派だ。全国にある一五m以上の橋一三万六八六五か所のうち、吊橋はわずかに九八四か所。吊橋の一種の斜張橋はさらに少なく、二九九か所しかない。両方を加えても一二二三か所と、全体の一%にも満たない。
吊橋は、張力に優れたケーブルの発展とともに、長大橋が建設されるようになった。空中に張り渡したケーブルで、橋床を吊り下げる構造の橋が吊橋である。吊橋には支間を長くできるという利点があり、支間距離の長い橋はほとんどが吊橋だといってもよい。
平成一〇年に完成した明石市と淡路島をつなぐ明石海峡大橋は、世界最長の吊橋(全長三九九一m)として注目を集めた。幅四km近い明石海峡をひと跨ぎしたのである。中央支間の距離は実に一九九一mと、約二kmの間に橋脚が一本もないのだ。
平成一一年には、本州(尾道)と四国(今治)を結ぶ三本目のルートとして「しまなみ海道」が完成した。その中の一つ、生口(いくち)島と大三島を結ぶ多々羅大橋も世界一なのである。多々羅大橋は斜張橋だ。斜張橋は吊橋の一種だとはいえ、力学的原理は吊橋と異なる。主塔から斜めに張ったケーブルで長い橋床を吊ったもので、美観に優れていることから、最近は支間の短い橋にも採用されている。
多々羅大橋の全長は一四八〇km、中央支間は八九〇m、斜張橋としては世界一長い橋なのである。これで道路鉄道併用橋で世界一の瀬戸大橋を合わせ、瀬戸内海には世界一の長大橋が三本も架かっているのである。本州と四国を結ぶルートが三か所で実現し、いずれの橋も世界一というのだから、日本の橋梁技術もめざましい成長を遂げたものである。
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【この辞典の書籍版説明】
「道と路がわかる事典」浅井 建爾 |
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道を切り口に日本を旅する楽しみに出会う本。身の回りの生活道路の不思議から、古道の歴史、国道や高速道路、橋やトンネル、乗り物まで道と路に関する知識が満載。 |
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