水木しげるロード
【みずきしげるろーど】
【道と路がわかる事典】 4章 道の由来と文化 >
山陰地方、鳥取県と島根県の境に境港市という港町がある。日本有数の水揚げを誇る水産都市として知られてはいるが、これといった観光資源もないため、境港を訪れる人は少ない。日本の漁業も不振が続き、町には沈滞ムードが漂っていた。そんななか、思わぬ救世主が登場した。この世には存在しない妖怪たちである。
境港市は、漫画家水木しげる氏の出身地だ。水木しげるといえば、妖怪漫画「ゲゲゲの鬼太郎」の作者として一世を風靡した人物である。水木氏の漫画に登場する鬼太郎や、ねずみ男など妖怪たちのオブジェ、モニュメント、絵タイルなどを歩道に設置し、市民から親しまれるコミュニティ道路をつくろうと、全市が一体となって整備したもので、「水木しげるロード」と名づけられた。
この奇抜な発想が反響を呼び、マスコミなどに度々取り上げられたことから、全国的に知られるようになった。「ゲゲゲの鬼太郎」といえば、国民の多くに読まれている人気漫画である。懐かしさと物珍しさも手伝って、一目見ようと全国から多くの観光客が訪れるようになった。
この人気に気をよくしてか、妖怪神社ができ、妖怪ポストも設置された。鬼太郎のイラスト列車まで走り、水木しげるロードの人気を後押しした。毎年夏には、妖怪フェスティバルや鬼太郎祭、妖怪オブジェコンクールと催しも盛りだくさん。まさに境港市は妖怪一色である。
これまで、数えるほどしか来なかった観光客が、平成一二年度には六〇万人を突破した。大型店に客を奪われ、寂れ気味だった商店街も大いに活気づいた。この人気は一時的なものなのか、それとも定着するのか。今後の成り行きを見守っていきたいものである。
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【この辞典の書籍版説明】
「道と路がわかる事典」浅井 建爾 |
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道を切り口に日本を旅する楽しみに出会う本。身の回りの生活道路の不思議から、古道の歴史、国道や高速道路、橋やトンネル、乗り物まで道と路に関する知識が満載。 |
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