歩行者天国②
【ほこうしゃてんごく】
【道と路がわかる事典】 4章 道の由来と文化 >
日本初の歩行者天国は、銀座や新宿など東京の繁華街だということになっているが、実は北海道の旭川市で、昭和四四年に実現していたのである。ただし、一二日間という期限つきではあったのだが。
旭川市での歩行者天国は、日曜日など限られた日だけではなく、恒久的な歩行者専用道路、すなわち買物公園という都市空間をつくろうという発想から生まれた。構想は一〇年ほど前からあり、中心部に市民の集う広場をつくって、旭川市を全国に誇れる美しい街にしようというのが、買物公園の当初の目的であった。そこへ、折りからの自動車の急速な普及から、世間では人間性への回復が叫ばれるようになった。それが幸いして、この構想も世論から後押しされる形となった。
実現まで紆余曲折はあったものの、昭和四四年の一二日間の予行を経て、昭和四七年六月、全国初の恒久的な歩行者遊歩道、買物公園が誕生した。北国の一地方都市で、先見性のある買物公園が実現したことは大いに注目すべきことであった。道路幅二〇m、一日の通行量一万六〇〇〇台、当時は国道四〇号の幹線道だった道から車を締め出したのである。
買物公園には樹木が植えられ、彫刻や噴水、花壇、子供の遊具なども設置された。買物を楽しむ人、ベンチでくつろぐ人、道路を飛び跳ねる子供。交通量の激しかった道路が、一瞬にして公園と化したのである。車が通らなくなったら店の売上げが減るのではないか、という不安をよそに、周辺の市町村からも多くの買物客が訪れるようになり、今では旭川のシンボル、市民の誇りなのである。
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【この辞典の書籍版説明】
「道と路がわかる事典」浅井 建爾 |
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道を切り口に日本を旅する楽しみに出会う本。身の回りの生活道路の不思議から、古道の歴史、国道や高速道路、橋やトンネル、乗り物まで道と路に関する知識が満載。 |
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