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時計精度
【とけいせいど】

暦の雑学事典4章 時刻・時計 >

◆海洋上の経度測定はきわめてむずかしい
 「一四九二年八月三日、金曜日の八時にサルテスの川口から出帆した。陸からの強風を受けて、日没までに南へ六〇ミリャすなわち一五レグアを進み、その後カナリア諸島への針路をとって、南西及び南微西へ向かった」。これは大航海時代の扉を開いたコロンブスの、第一回航海の航海誌に記された冒頭の文章である(林屋永吉訳『コロンブス航海誌』より)。
 ミリャ、レグアというのは距離の単位で、一ミリャは約一・五キロメートル、一レグアは四ミリャで約六キロメートルである。航海第一日目は朝八時から日没まで一五レグア、すなわち約九〇キロメートル進んでいるから、コロンブスが乗ったサンタマリア号以下、三隻の速度は、毎時一〇キロメートル前後だったことがわかる。船の進行距離を計算するのに、この時代は砂時計を用いていた。航海誌には「一砂時計時は半時間弱であるとあるから、やや大きな砂時計である
 大海原を航海する船は、自らの位置を常に把握しなければならない。緯度は太陽や星の高度から比較的容易に測定できるが経度の測定はきわめてむずかしい。コロンブスの時代は船の平均速度と航海日数から概算するしかなく、誤差はかなり大きかった。
 機械時計は一定リズムで時を刻むので、東西方向に進行する船においては、その時計により示される日々の南中時刻の変化から経度を知ることができる。いわば時差を利用した経度測定法である。これは一五三三年にオランダの地理学者が最初に考えついたといわれるが、当時の機械時計の精度が低すぎて実現できなかった。
◆時計技術者ハリソンが製作したクロノメーター
 一八世紀初め、経度測定を誤ったイギリス軍艦の座礁事故が起きた。これをきっかけにイギリス議会は、海上で十分正確な経度測定法(イギリスと西インド諸島間の航海で経度誤差三〇マイル以内)を考案したものに二万ポンドの賞金を与えることを議決した。
 イギリスの時計技術者ハリソンの考案したクロノメーター(経線儀)は、この懸賞に応募して開発された高精度の機械時計である。一七三五~六〇年にかけてモデルが製作され、四号機はイギリス議会の要求した条件をみごとにクリアした。クロノメーターは二〇世紀にクォーツ時計が発明されるまで、航海器具としてのみならず地上からの天文観測や経度測定にも長らく用いられ、高精度のゼンマイ式懐中時計のことをクロノメーターとも呼んだ。
 今日ではGPS衛星(全地球測位システム衛星)によって、海上であれ、山間部であれ、正確な位置を知ることができるようになった。最近のカーナビゲーションシステムは、GPS衛星と自律航法の併用により、測位精度は数メートルにもなっている。


日本実業出版社
「暦の雑学事典」
JLogosID : 14820744


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【この辞典の書籍版説明】

「暦の雑学事典」吉岡 安之

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出版社: 暦の雑学事典[link]
編集: 吉岡 安之
価格:1404
収録数: 198221
サイズ: 18x13x1.8cm
発売日: 1999年12月
ISBN: 978-4534030214