占星術
【せんせいじゅつ】
【暦の雑学事典】 2章 暦の歴史エピソード >
◆中国の天変占星術とバビロニアの宿命占星術
科学が未発達であった昔は、天文学も暦法も占いも混然一体となっていた。そもそも天文とは天変と同義であり、天文学とは日月星辰の運行を観測して、異変があればその意味を解釈する天変占星術にほかならなかった。古代中国においては、天の意志を世の中に伝えるのが天子の役目だったから、占星術は政治的な意味をもった天変占星術として発展した。天文観測に基づく中国の複雑で精緻な太陰太陽暦は、天変占星術から派生して生まれたものである。
西洋占星術のルーツはバビロニアのカルデア人の占星術である。カルデア人は星の運行が個人の人生を決定づけると信じていた。とりわけ重視されたのは誕生日で、ここからホロスコープという宿命占星術が生まれ、ヘレニズム時代にギリシア天文学と合体して理論的に補強された。天動説を完成したプトレマイオスが著した『テトラビブロス』は、現在にいたるまで西洋占星術のバイブルとして利用されているという。
バビロニアの宿命占星術はインド占星術と合体し、八世紀に仏教僧によってセイロンから中国にもたらされ、九世紀初めに密教とともに日本にも渡来した。現代日本の広い意味での星占いは、中国起源の天変占星術、バビロニア起源の宿命占星術、そして明治以降のヨーロッパ占星術(バビロニア起源、イスラム経由)とが共存している。
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【この辞典の書籍版説明】
「暦の雑学事典」吉岡 安之 |
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