日曜
【にちよう】
【暦の雑学事典】 1章 暦の常識・非常識 >
◆役人の休みすぎを是正するための週休制
一週間ごとに休日を設けることを週休制という。日本では一八七四年(明治七年)に日曜休日、一八七六年(明治九年)に土曜半休(いわゆる半ドン)が官庁に導入されたのが始まりである。
それ以前の役人が休みなしに働いていたわけではない。それどころか、毎月、一と六の日(一日、六日、一一日、一六日、二一日、二六日)のほかに、節句や祭の日を休みとする慣行があり、勤務日数は一年の半分にも満たないことも多かったという。週休制は役人たちの仕事の効率を上げるために導入されたのである。
一方、商人や職人たちにおいては、盆と正月を除けば休日はせいぜい月二回(一日、一五日など)ほどで、中小・零細企業の工場労働者にはそれさえなかった。このため、一九一一年に制定された工場法では、婦人・年少労働者においては、毎月、少なくとも二回の休日を設けることが定められた。四七年には労働基準法が制定され、一日八時間・週四八時間労働(現在は週四〇時間)とともに週休制が確立されたが、日曜が休日と規定されているわけではない。現在の日本において、日曜がほぼ国民的な休日となっているのは、官庁・学校および多くの企業で日曜が休日とされているからである。
◆安息日を知らない日本人
日本では日曜は百貨店にとって稼ぎ時なので、閉店日は平日に設けられているのが通常だ。ところが、ヨーロッパ旅行をして日曜にショッピングに出かけると、百貨店が軒並みシャッターをおろしていて面食らうことがある。これはもともと日曜というのはキリスト教において安息日とされているからだ。
ユダヤ教においては西暦前六世紀頃から、土曜日(金曜日の日没から土曜日の日没まで)が、シャバットという安息日とされ、この習慣がのちにローマからヨーロッパに広く伝わり、キリスト教社会においては日曜日が安息日とされるようになった。イタリア語、スペイン語、ポルトガル語の「土曜日」を意味する「サバト」は、ユダヤ教のシャバットに由来する。
もともとシャバットは「仕事を中断する」という意味をもち、ユダヤ教ではいっさいの労働が厳しく禁じられている。イスラエルでは毎週土曜日の安息日には公共交通機関さえストップし、日本人のように休日を余暇や買い物にあてるなどということは、神を冒 する行為となるのである。土日はおろか祝日さえ仕事にあてる日本人のワーカーホリック(働きすぎ)は、安息日をもたないこととも関係しているようだ。
キリスト教においても、やはり日曜に労働することを罪悪視する傾向がある。加えて、ヨーロッパでは巨大資本から中小小売店を守るとともに、過剰労働にならないように、法律によって小売店の営業時間が定められている。近年、ドイツなどでは、経済活性化のために、百貨店の日曜営業を認めようという動きもあるが、教会側は難色を示しているという。
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【この辞典の書籍版説明】
「暦の雑学事典」吉岡 安之 |
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