肺塞栓症・肺血栓塞栓症
【はいそくせんしょう・はいけっせんそくせんしょう】
【標準治療】 病名 > 心臓・血管
血栓(けっせん:血液の塊)、脂肪栓(脂肪の塊)、空気、腫瘍(しゅよう)細胞などが肺動脈につまり、肺動脈を閉塞する病気が肺塞栓症です。その結果、肺組織に壊死(えし)が生じると肺梗塞と呼ばれます。
この中で最も多く認められるのは、静脈系、とくに下肢(かし:足)の静脈に血栓ができ、それが肺動脈を閉塞させる肺血栓塞栓症です。
最近では、いわゆる「エコノミークラス症候群」といったほうが一般の方にはわかりやすいかもしれません。これは外国との往復などで飛行機に乗る場合、足を十分に伸ばせない状態で長時間同じ姿勢をとっていますと、下肢の深部静脈に血栓が形成され、到着地で飛行機から降りようと立ち上がった際にその血栓が下肢から遊離し、下大静脈、右心房、右心室を通過し肺動脈につまり、肺血栓塞栓症を引き起こすことになります。血栓の大きさが小さい場合には軽度の胸部症状を感じるのみで大きな問題にはならないと思われますが、血栓が大きく肺動脈の基部などの肺動脈の太い部分につまると、呼吸困難感・胸痛・動悸などの症状は激しくなり、一部の例ではショック状態となったり、突然死を引き起こしたりすることがあります。
静脈に血栓ができやすくなる条件としては、長期の臥床(がしょう)・坐位(ざい)、肥満などが一般的なものとしてあげられますが、病的な条件としては婦人科の術後、骨折などでギプスを付けた場合、下肢の静脈炎などがあげられます。
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【この辞典の書籍版説明】
「標準治療」寺下 謙三 |
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約570の病気の情報 (症状、診断方法、標準的な治療方法、予後、生活上の注意など)を診療科目別に掲載している 「家庭の医学事典」です。 |
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