ういろう
【ういろう】
【日本史の雑学事典】 第9章 食と習慣の巻 > リスト
■13 「ういろう」は菓子でなく不老長寿の薬だった?…もともとは中国・元の職名に由来
元の礼部員外郎という職にあった陳宗敬が、元が明に滅ぼされたため、室町3代将軍・足利義満の頃に来日し、「透沈香(透頂香)」と呼ばれる薬を伝えた。この薬は不老長寿の霊薬とされ、朝廷貴族や将軍家に珍重された。初めは透沈香と称したが、やがて陳氏の職名を唐音読みして「外郎」と呼ぶようになった。これが、小田原や名古屋などの名物菓子「ういろう」の始まりである。
外郎を小田原に持ち込んだのは、陳氏の子孫だ。日本に帰化し、外郎姓を名乗った彼らは、城下で外郎を販売すると共に、不老長寿に効くとして小田原城主・北条氏綱に献上した。氏綱が効き目を尋ねると「口臭を除き眠気をさまし、生命を伸ばす神薬です」と答えた。氏綱は城下に永住するよう屋敷を与え、代々外郎を製造・販売することを許したと伝えられる。
ちなみに、お菓子の外郎と薬(透沈香)は別物だという説もある。透沈香が苦いので、口直しにお菓子を出すようになり、それが外郎と呼ばれるようになったというものや、もともと日本にあった菓子が薬の外郎(透沈香)そっくりだったので、やがてその菓子を外郎と称するようになったとも言われている。
この「外郎」の名称を巡って、小田原の外郎家が、名古屋の「青柳ういろう」に「ういろう」の商標登録を認めた特許庁の決定を無効だと裁判に訴えた。2001年10月、最高裁は「『ういろう』は外郎家に由来する菓子を示す固有名詞だったが、時代と共に菓子の一種を意味する普通名詞になった」と判断、原告の上告を棄却している。
data-ad-slot値が不明なので広告を表示できません。
【関連コンテンツ】
広告を表示できません。
【この辞典の書籍版説明】
「日本史の雑学事典」河合敦 |
|
歴史は無限の逸話の宝箱。史実の流れに紛れて見逃しそうな話の中には、オドロキのエピソードがいっぱいある。愛あり、欲あり、謎あり、恐怖あり、理由(わけ)もあり…。学校の先生では教えてくれない日本史の奥深い楽しさ、おもしろさが思う存分楽しめる本。 |
|
出版社:
日本史の雑学事典[link] |