ストレスチェック制度
【すとれすちぇっくせいど】
【時事用語のABC】 社会 > 行政・仕組み
2014年6月に公布の改正労働安全衛生法で創設され、2015年12月1日に施行された制度。労働者が自分のストレス状態を知って早めに対処し、うつなどを予防することが目的で、従業員50人以上の事業所に、全従業員を対象にしたストレスチェック実施を義務づけている。年1回の実施が義務化され、初年度は2015年12月から2016年11月末まで。対象事業所は推定16万事業所。
国が推奨する「職業性ストレス簡易調査票」の質問項目は、「よく眠れるか」「上司や同僚と気軽に話ができるか」 など57項目。労働者は4段階の選択式でウェブ上か紙に記入して回答する。独自の項目を盛り込んだチェックシートを用意している事業所もある。
チェックは医師(産業医)、保健師、精神保健福祉士などの有資格者に限られ、事業所は判定できない。ストレスが高いと判定されて本人が希望した場合、医師の面接指導を受けることができる。高ストレス者と判定する目安は、厚労省の指針では「受検者の上位10%」とされている。事業者は必要に応じて、残業や休日出勤の削減などの措置を取ることが求められる。
チェックの実施は事業者に義務づけられているが、労働者には受ける義務はない。このため全員が受けるとは限らない。回答内容は本人の同意なしに事業者に伝えられることはないが、医師による面接指導を受けるには、本人が事業者に申し出る必要がある。
制度の問題点としては、次の点が指摘されている。
・高ストレス者であることを知られるのを嫌って面接の申し出をためらう人が出そうなこと
・50人未満の事業所は努力義務とされ、勤務先による格差が出そうなこと
・産業医の中には精神科を専門とする医師が少ないこと
医師や保健師などが社内にいない場合は、チェック実施を外部機関に委託することになる。このため、制度開始をビジネスチャンスと捉える動きが目立つ。ストレスチェックを請け負う企業のほか、保険加入事業所を対象に、検査からデータ保存までを無料で請け負う保険会社もある。さらに、職場への音楽配信、リラクゼーション機器販売など、関連ビジネスも盛り上がりつつある。
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