ギリシャ銀行営業停止
【ぎりしゃ】
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ギリシャのチプラス首相は2015年6月28日、国民向けのテレビ演説で29日からの国内銀行の休業と資本規制導入を発表した。営業再開は7月7日の見通し。ただし再開後も現金自動預払機(ATM)からの現金引出しは1日当たり60ユーロまでに規制、銀行間の送金や海外送金は禁止される。
ギリシャはユーロ圏の国々から多額の金融支援を受けている。
6月末にIMF(国際通貨基金)に対し約15億ユーロを超える債務の返済期限を迎えるのに加え、7、8月にはヨーロッパ中央銀行が保有する約67億ユーロの国債償還が控えている。
2015年6月27日、ユーロ圏19カ国による財務相会合が臨時に開かれ、ギリシャが求めた支援期限の延長を拒否、6月末で終了することを決めた。
これはギリシャが、支援の前提となる国内改革案に対し、この是非を国民投票によって問うと表明したことに反発したもの。
これまでの交渉でギリシャは、EUやIMFに、増税などを柱とする財政改革案を示していたが、EUやIMFの支援側は、年金カットなどでさらなる歳出削減を求めていた。さらに、これをギリシャが受け入れれば、金融支援プログラムを5カ月間延長することを提案していた。ところが、チプラス首相は27日未明、改革案の受け入れの賛否を問う国民投票を7月5日に行うと表明、この提案を拒否した形となった。
また、欧州中央銀行(ECB)も、ギリシャの銀行への緊急流動性支援(ELA)枠引き上げの見送りを決定、ギリシャの資金繰りを支えてきたユーロ圏の国々が、ギリシャへの支援を6月末で終了する方針を示したことで、ギリシャがデフォルト(債務不履行)に陥るのではないかという懸念が強まっている。
ギリシャ国内ではデフォルトの可能性が強まるなか、地元メディアによると6月15日からの5日間ですでに多くの人が銀行から預金を引き出しており、約50億ユーロ(約7000億円)の預金が引き出された。また資本規制の発表後は、預金を引き出すためATMの前に長い列をつくり、ガソリンスタンドにも車が押し寄せるなど、市民生活に混乱の兆しが見え始めている。
日本への直接の影響に関しては、ギリシャ国債はヨーロッパ中央銀行などの公的機関やギリシャの国内銀行がほとんどを保有しているため、急激な変化や影響はあまりないとの見方が大勢。またユーロ圏では、2009年~2012年の信用不安が教訓となり、財政危機に陥った国への支援、ヨーロッパ中央銀行の国債買入れの仕組みが整備されており、これまでもギリシャの問題が他国に波及し、ヨーロッパ金融市場が動揺することにはなっていない。ただし、ギリシャがユーロ圏を離脱するような事態になった場合には、外国為替市場や各国の国債の市場が混乱するといった恐れもある。
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