日本銀行法
【にほんぎんこうほう】
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略称・日銀法。日本銀行の中央銀行としての存在や役割を定めた法律で、太平洋戦争中の1942年に制定。98年に現行法に改正された。
旧法は、「国家経済総力の適切なる発揮を図る」(第1条)「国家目的の達成を使命として運営せらるべし」(第2条)など、戦時下の国家総動員的な考えを色濃く反映していた。しかし、バブル崩壊後の金融システムを取り巻く環境が変化し、海外では、欧州の通貨統合に伴い欧州中央銀行が設立されるなど中央銀行の独立性が強まる潮流に。日本の経済・金融のグローバル化にも対応するため、改正法では第1~2条で、「物価の安定」「金融システムの安定」を目的とし、「中央銀行の独立性」と「政策決定過程の透明化」を重点的に打ち出した。大蔵大臣(当時)の業務命令権や、政府が意見の違いを理由に役員を解任することを廃止、日銀の最高意思決定機関である「政策委員会」の議事録公開などを盛り込んだ。
しかしデフレ経済が長引く中、日銀のあり方や景気対策を見直す意見が政界から相次いでおり、自民党は12年11月22日、衆院選の政権公約で2%の「インフレ目標」を設定し、日銀法の改正も視野に入れた大胆な金融緩和構想を明らかにした。「自民党の一部には、政府に日銀総裁の解任権を持たせる構想もある」(12年11月22日・読売新聞社説)といい、安倍晋三総裁は一時遊説先で、日銀が国から建設国債を買い取る「国債引き受け」の考えを示した。その後、直接の買い取りは否定したが、政府・与党からは「禁じ手」(野田佳彦首相)との批判を浴びた。
経済学者の間では、安倍内閣の参事官を務めた高橋洋一氏が安倍総裁の政策を評価しているのに対し、池田信夫氏は「インフレが起こって財政が破綻しない可能性もゼロではないが、それを期待して国債を日銀に引き受けさせるのは、財政破綻のリスクを取る危険なギャンブル」と指摘している(12年11月18日、アゴラ)。
国が日銀の独立性を脅かす弊害としては、日銀が戦前に国債を引き受け、終戦後に戦時中の200倍というハイパーインフレに見舞われたケースがよく挙げられる。
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