マリモ
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 生物の不思議 > 植物
国の特別天然記念物にもなっているのが、北海道阿寒湖のマリモである。マリモとは、「鞠のように丸くなった藻」という意味。藻の一種で、阿寒湖では、直径三〇センチメートルにまで大きくなったものも見られる。
だが、マリモがすべて丸いものだとはかぎらない。岩の上に広がって生えていたり、ただのかたまりになっていたり、バラバラの状態でゆらゆらしているマリモもある。つまり、丸くなければ、一般の藻と、何ら変わるところはないのである。
丸くなるには、いくつもの条件が満たされる必要がある。
まず、石やどんぐりなどの核となるものに藻がつき、だんだん育っていく。それが、水流によってくるくる回ったり、ゆり動かされたりしているうちに、核の全体を放射状に覆う。さらに、ときどき湖底にこすりつけられて、まん丸な形を保ちつつ、大きくなるのである。
しかし、水の流れが速すぎると、藻の根がはがれてしまうし、核が大きすぎたり、流れが遅すぎても、藻が房状に育つばかりで、丸くはならない。
水の流れの速度や湖の深さ、地形などの条件がすべて満たされたときだけ、マリモはきれいな球状になるのだ。
また、これらの条件がぴったり合ったとしても、湖底が泥の部分では核になるものがないので、藻がからみ合っているだけの小さなマリモにしかならない。
マリモは、青森県の左京沼、山梨県の山中湖、そして滋賀県の琵琶湖でも発見されているが、阿寒湖のもののようには大きくならないようだ。阿寒湖は、湾が多く、遠浅の砂浜がある独特の地形をしている。これが、世界でも珍しい、大きなマリモを生み出しているのである。
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【この辞典の書籍版説明】
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