ペンギン②
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 生物の不思議 > 鳥類
黒い背中と白い腹部を持ち、氷の上で群れているペンギンといえば南極大陸のシンボル。直立した姿とヨチヨチした歩き方が愛らしく、ペンギンは動物園でも人気の動物だ。
けれども野生のペンギンは南極大陸沿岸から南緯四〇度前後までの寒冷地域にしか生息していない。そういった寒冷地帯で生活できるペンギンなのに、北極近辺には全く見られないのはなぜだろう? アザラシでもクジラでも両半球にいるのだからペンギンも北極に棲んでいてもおかしくはないはずなのに。
それを説明するためにははるか昔、大陸移動の時期までさかのぼらなければいけない。
約三億年以上前、地球上の大陸といえばパンゲア大陸ただ一つだった。それが大陸移動によって北のユーラシア大陸と南のゴンドワナ大陸に分かれて、さらに五つの大陸へと分かれていった。理由はわかっていないが、分裂後の南側の大陸には凶暴な肉食獣がいなかった。分裂前からたまたま南側に肉食獣がいなかったのか、それとも分裂後に絶滅してしまったのかはまだわかっていない。
いずれにせよ、北半球では生存競争に勝ち残れなかった動物も南半球では生き残ることができたのだ。
ペンギンの祖先もオーストラリア大陸や南米大陸南端、それに南極大陸など寒流の流れ込む海に生息し、水中生活に適応する形で進化していったのだ。ペンギンは海を泳ぐことができたため、今では南極大陸から亜熱帯近くまで広がっているが、ペンギンのいる場所は寒流の流れる地域ばかりなのだ。
ペンギンは繁殖期以外は海上で生活し、泳ぎながらイカや魚などを食べて過ごしている。
もちろんペンギンにも翼はあるけれど、これは潜水や遊泳に適した形に変型してしまっていてどの種類も空を飛ぶことはできない。だから、水温の高い海を飛んで北半球へ渡ることはできない。
ペンギンは長い進化の歴史の中で寒流だけに適応した身体になってしまい、水温の高い海域を越えて北半球に移動することはできなくなってしまったのだ。
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