天王山
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 地理 > 場所
「この不況を乗り切るために、今開発中の製品を何とか世に出したい。今がわが社の天王山だからな……。」こんな檄を飛ばしている社長がいるに違いない。あるいは、受験生の場合、今の勉強次第で、希望校に入学できるか否かが決まる……というのであれば、彼あるいは彼女にとって、今はまさに天王山なのである。つまり、「天王山」とは「勝敗や運命の分かれ目」という意味であるが、その由来はこうだ。
天王山は京都府南部、大阪府との境に近い、乙訓郡大山崎町にある山である。海抜二七〇メートル。桂川、宇治川、木津川が合流して淀川となる地点で、対岸には石清水八幡宮のある男山が臨まれる。昔からここは京都と大阪をむすぶ水陸交通の要衝で、景勝の地でもあった。付近一帯、史跡に富んでいる。現在は、その麓をJRや名神高速道路が走っている。
頃は一五八二(天正一〇)年のこと、主君織田信長が明智光秀に倒されたと聞くや、光秀を討つため、羽柴秀吉は山陽道を京へ向け駆け戻った。そのとき、光秀、秀吉の両軍が相対峙したところが天王山であった。この地を占領した方が有利だというので、両軍は激しく戦い、奪い合った。結局、天王山は秀吉軍の手に落ち、「明智光秀の三日天下」が終わった。
勝敗の決まったこの戦いで、両者の運命は大きく分かれ、その後、羽柴秀吉の天下統一への道が開かれていったのである。「天下分け目の天王山」とも言われる。
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【この辞典の書籍版説明】
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