太宰治
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 >
太宰治は『走れメロス』『斜陽』『人間失格』『晩年』など、ロマンティックでセンチメンタルな作風で知られた作家。地元・青森の大地主の子として生まれ育った太宰は有産階級の出身であることに屈折したコンプレックスを持ち、退廃的な作風の小説を書き上げていった。
太宰といえば私生活でのスキャンダラスな女性遍歴でも知られている。
一九三〇(昭和五)年に東京帝国大学仏文学科に進み井伏鱒二に師事するが、この年から非合法活動に手を染めるようになり、バーの女給と心中をはかるが、太宰は助かり、相手の女性だけが死んだ。同年、青森の芸妓・小山初代と結婚するが、やがて離婚して石原美智子と結婚、一九四八(昭和二三)年『人間失格』を残し、山崎富栄と入水自殺した。
太宰のような繊細な芸術家は小説と恋愛以外には何事も器用にできなかったのでは、といった印象をもたれがちだが、意外にもさまざまな分野でその才能を見せていた。
その一つはデザイン芸術。自分たちの同人誌の装幀を担当していたが、凡人には思い浮かばないようなアバンギャルドでデザイン性の高いものを手がけていた。
二つめは英作文。英語は決して得意科目ではなかったというが、高校時代の英作文はイギリス人教師が絶賛するほどのできばえだったという。
三つめは朗読。太宰は自分の作品を書き上げると親しい友人にそれを朗読して聞かせて感想を聞いていたが、その朗読が素人とは思えないほど上手だったらしい。
そして、意外なことに魚の食べ方が信じられないほど上手だったという話も伝わっている。骨が多くて食べにくい魚でも、太宰は箸だけで上手に小骨を取り分けてきれいに身だけを食べていた。もともと手先が器用だった上、厳格な家で幼い頃から祖母に箸の使い方を厳しく躾られていたためだ。
「天は二物を与えず」というが、太宰は見事にこの諺に反した芸術家といっていいだろう。
data-ad-slot値が不明なので広告を表示できません。
【関連コンテンツ】
広告を表示できません。
【この辞典の書籍版説明】
「雑学大全」東京雑学研究会 |
|
“働きバチは1日6時間しか働かない”,“下手な医者をなぜ「ヤブ」と呼ぶのか?”,“『浦島太郎』のカメはオスかメスか?”……のような知的好奇心そそる雑学の集大成。なんと全1000項目!! |
|
出版社:
雑学大全[link] |