静電気
【東京雑学研究会編】
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冬の季節、セーターを脱ごうとして、パチパチと音がすることがある。あるいは、ドアのノブを回そうとしてビリッときたときのあの何とも言えない不快感。どちらも「静電気」の仕業だ。火花が出るときは、五〇〇〇ボルトもあるという。
静電気は電子の移動によって起きる。どんな物質もプラスの電気を持つ原子核と、それと同量のマイナス電気を持つ電子で構成されている。物体は通常、プラスとマイナスが打ち消しあった中性の状態で安定しているが、物体が触れ合うと電子の移動が起こり、一つはプラスに、もう一つはマイナスに帯電する。これを「摩擦帯電」という。
物質の一種である空気と人間との摩擦、あるいは、洋服同士や肌との摩擦、自動車のシートと衣服との摩擦などによって、衣服や身体に静電気がたまる。プラスの電気を帯びた指が、ドアノブに近づくと、中性であったドアノブの中の電子(マイナスの電気)が、近づいてきたプラスの電気と引き合おうとする。これを「静電誘導」といい、この結果放電現象が起き、ビリッと感じることになる。落雷と同じ原理である。
この現象は、冬の乾燥したときによく起き、夏や梅雨時には起きない。なぜなら、静電気は、衣服が電気を通さない材質や状態のときによくたまるからである。湿気の多い季節には、衣服が水分を含み、その水を伝わって電気が流れ出てしまう。
反対に乾燥した冬は、繊維が水を含まないので静電気がたまるというわけ。だから、水を含みやすい木綿より、含みにくい合成繊維やウールの服に静電気がよくたまる。
最も手軽で安価な静電気防止方法。それは、手や衣服に湿気があればよいのだ。金属に触れる前に、濡れ雑巾でも触っておけばOK。ほかには、革の財布やキーホルダーカバー、木の葉や幹でもかなり静電気が流れてしまう。
ちなみに、電気は導体のとがった部分に集まる性質があるので、乾いた指先には、静電気がたまりやすい。ドアノブの放電ぐらいでは人体に影響はないが、驚いた拍子に二次災害が起きないように、くれぐれもご用心。
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「雑学大全」東京雑学研究会 |
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