スカンク
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 生物の不思議 > 動物
スカンクといえば、ひどく臭いガスを発することで知られている。その強烈さは笑い事ではなく、一度嗅いでしまったら、二度とスカンクには近づきたくなくなるという。
それもそのはず、スカンクはイヌ、クマ、ピューマなどの天敵から身を守るためにガスを発しているのである。スカンクのガスを浴びた天敵たちは、すっかり懲りてしまい、その後自分からスカンクを避けるようになる。また、スカンクのほうでも、その敵がすぐ近くにやって来るまで、平然としている。もっとも、これほどの悪臭でも、ワシやフクロウなど、猛禽類の天敵には効果がないという。
スカンクの体は、白と黒の縞で目立つ色をしているが、これも「近づいたら臭いぞ」という警告を発して、天敵を遠ざけようとしているのだと考えられている。
悪臭の元になっているのは、実はおならではなく、肛門腺から分泌される、黄色い油状の分泌液である。肛門腺は袋状になっており、筋肉の働きで分泌液を放出する。
この液が人間の皮膚についたとしても、簡単に洗い流すことができるが、衣服につくとにおいがとれず、二度と着られなくなり、また、目に入ったりしようものなら激痛が走り、一時的に目が見えなくなるという。しかし、命には別状はなく、後に残る障害もないらしい。
においの主成分は、ブチル・メルカプタンというガスで、これが戦争に使用されたことがある。
第一次世界大戦は、飛行機や毒ガスがはじめて武器として使用され、近代戦の幕開けになったといわれている戦争だ。
「スカンクのにおいがしたら、ドイツ軍は毒ガスだと思って、あわてるかもしれない」こう考えたアメリカ軍は、風上からスカンクのにおいのガスを流してみた。
策略はまんまと成功し、驚いてガスマスクを装着したドイツ軍の動きは、すっかり鈍くなった。アメリカ軍は、これ幸いと身軽な格好で風上から攻撃を仕掛けた。
ドイツ情報部が作戦を見破るまで、アメリカ軍は何度もスカンクのにおいのガスを流し、戦いを有利に展開したのである。
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