クロワッサン
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 生活 > 食べ物
バターをたっぷり使ったパンの生地を重ねて焼き上げたクロワッサンは、香ばしい香りとさくさくとした食感で人気が高い。どこかおしゃれなイメージもある。
「クロワッサン」とはフランス語で「三日月」のこと。現在のようなさくさくのクロワッサンが生まれたのは一九二〇年代のパリだが、原形はあのマリー・アントワネット王妃が、故郷のオーストリアから連れてきたパン職人が持ち込んだものだ。その意味でいえば、クロワッサンはオーストリア生まれともいえる。
だがその独特の形は、フランスでもオーストリアでもない国に関係がある。ある歴史的な大事件がきっかけとなってできた形なのだ。
一七世紀後半、中央アジアで大きな勢力を持っていたオスマン帝国は、当時のオーストリア=ハンガリー帝国の首都ウィーンにまで迫った。武力にすぐれたイスラムの帝国軍は首都陥落を狙い、地下にトンネルを掘って、そこから奇襲する作戦に出た。
このとき首都を救ったのは、ウィーンのパン職人だった。地下工房で働いていた職人が地下を掘る怪しい音に気づき、オーストリア軍に通報したのだ。
これによってオスマン帝国軍の奇襲は失敗に終わり、ウィーンから去って行った。もしオスマン帝国がウィーンを占領していたら、その後の歴史地図は全く違うものになっていただろう。
オーストリア皇帝はパン職人の功績を称え、大きな権益を与えた。その記念と返礼に、職人たちが献上したのが三日月型のパンだったのだ。
三日月はトルコの国旗に描かれているかたちである。敵の象徴をパンにして食ってしまえという発想だ。
なお、皇帝に献上されたパンは現在のような層状にはなっていなかった。最初に述べたように、さくさくのパンになるのはそれから三〇〇年以上後のことである。
data-ad-slot値が不明なので広告を表示できません。
【関連コンテンツ】
広告を表示できません。
【この辞典の書籍版説明】
「雑学大全」東京雑学研究会 |
|
“働きバチは1日6時間しか働かない”,“下手な医者をなぜ「ヤブ」と呼ぶのか?”,“『浦島太郎』のカメはオスかメスか?”……のような知的好奇心そそる雑学の集大成。なんと全1000項目!! |
|
出版社:
雑学大全[link] |