財政の崖
【ざいせいのがけ】
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米政府の財政が急激に引き締められることに伴い、景気への悪影響が懸念されること。懸念される理由は
(1)ブッシュ政権時代(2001~09年)に行った期間限定の大型減税(ブッシュ減税)が失効することで増税となる
(2)家計の出費に当たる歳出の削減を強制的に行う措置が2013年1月から発動される
――ことによるもので、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が「財政の崖」と命名した。
「崖」から転げ落ち、米国景気が減速すれば世界経済への影響も大きいため、民主・共和両党の議会での話し合いが国際的に注目されてきたが、13年1月1日、年収45万ドル以下の世帯については減税を延長し、歳出の強制削減も2カ月延長する法案が成立。「財政の崖」を土壇場で回避した。
しかし民主、共和両党の対立の背景は根深く、懸案も残されている。
(1)については、共和党は元々、国家の活動の幅を制限する「小さな政府」を志向しており、富裕層への増税には反対の立場だ。一方、民主党は、オバマ政権が国民皆保険制度構築を目指したように「大きな政府」を伝統的に志向している。加えて08年のリーマンショック後の財政出動の影響で国の借金である債務の残高が膨れ上がり、財政を再建する必要から富裕層への増税に前向きだった。
民主、共和両党は12年中から財政再建に向け、話し合いを続けてきた。
(2)の歳出削減措置は、両党が同年内に合意できない場合に13~21年の9年間で1.2兆ドルの歳出削減を強制的に行うことが決まっていたもので、年明けの議会で何とか削減措置の延期は決まった。とはいえ、国の借金である国債発行の上限額引き上げなどの問題は13年春に持ち越された。
16兆ドルを超える発行枠は法律で定められた上限を突破しており、今後、共和党が議会で引き上げに応じなければ米国債の利払いが止まるなど危機的な状況を再び迎えかねない。
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