臨時国会
【りんじこっかい】
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【概要】
臨時に開かれる国会のことで内閣が招集を決める。一般的には「臨時国会」と呼ばれているが、憲法53条では「臨時会」と記載。衆参どちらかの総議員の四分の一以上の要求がある場合や、任期満了による衆院選または参院選の後に召集される。通例では、9~10月に召集され、毎年1月召集の「通常国会」会期中(150日間、1回だけ延長可)に成立せずに残された法案や、補正予算案、災害対策などの緊急事案や条約などを審議する。
臨時国会の会期は召集日に両院一致の議決で決まり、2回まで延長することが可能だ。2012年の臨時国会は10月29日に召集。野田佳彦首相は11月末までの33日間開催する意向を野党側に伝えている。
【解説】
2012年の臨時国会は、民主党政権が窮地に立たされる中で開かれる。野田首相は10月1日に内閣改造を行ったものの、入閣した田中慶秋・法相兼拉致担当相が過去の暴力団との交際や外国人からの違法献金が取りざたされ、国会を開く前のわずか三週間余りで辞任に追い込まれた。また、震災の復興予算が本来の目的とは程遠い用途に流用された問題も出ている。
野田首相は自民党総裁選前、谷垣禎一総裁(当時)に「近いうち解散」に言及する代わりに消費増税法案を通したが、10月19日の3党党首会談では、自民党の安倍晋三総裁、公明党の山口那津男代表に対して年内解散を明言せず、自公と全面対決の様相を呈している。野党が多数の参院では、首相の所信表明演説が拒否される方向だ。
12年臨時国会の重要課題は、赤字国債発行法案と、最高裁で違憲状態と判断されている「1票の格差」を是正するための選挙制度改革関連法案、社会保障国民会議の設置などがある。
特に赤字国債発行法案については瀬戸際だ。12年度の一般会計予算の約4割にあたる約38兆円を国債発行(借金)で賄っており、借金の裏付けがない状況が続いてきた。政府は9月に戦後初めて予算執行抑制に踏み切り、地方自治体にお金を配る地方交付税の支払いを一部先延ばしするなどしてやり繰りしてきたが、財務省は11月下旬にも「財源が底を突く」(12年10月19日産経新聞)と見通しを立てている。最悪の場合、行政サービスが低下するなど甚大な影響が出かねない。
野田首相にとっては、重要法案成立の代わりに解散に傾けば、残り9人で過半数を割る状況で(12年10月28日現在)、次期総選挙敗退による下野を怖れる党内から反発を呼ぶ可能性をはらむ。
一方の自民党も、法案成立に協力しても解散の見通しが立たず、難しい判断を迫られている。民主、自民がぎりぎりの攻防を続ける中、臨時国会直前には東京都の石原慎太郎知事が新党結成を表明し、日本維新の会などを含めた第3極の求心力が高まりつつある。
こうした中、メディア側からは、「与野党は活発に議論し、できるだけ多くの成果を得るよう努力してほしい」(12年10月28日付・北海道新聞社説)、「野田首相が逃げ回れば、民主党からますます民心が離れるだけだろう。安倍自民党は国民生活を優先した正攻法で勝負をしてほしい」(同日付・日経新聞風見鶏、西田睦美編集委員)など厳しい注文が相次いでいる。
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