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オスプレイ
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(概要)
 米軍の新型輸送機。米ボーイング社と米ベル・ヘリコプター社が共同開発した。ヘリコプター飛行機の両方の機能を併せ持ち、離着陸時はプロペラをヘリのように上方にして垂直に飛び、上空ではプロペラを前に傾かせ高速で飛行する。海兵隊が人員や物資の輸送に使う「MV22」型と、空軍が特殊部隊投入などに使う「CV22」型があり、航続能力やスピードなどで従来のヘリ型輸送機よりも優れている。
 米軍は中国への抑止力強化として日本配備を決め、2012年7月23日、試験飛行予定地の山口県・米軍岩国基地に到着した。しかし開発段階から事故を繰り返し、12年だけでも墜落が2件発生。安全性への懸念が絶えないため、山口県や配備予定の普天間基地のある沖縄県、訓練空域の自治体に加え、政府与党内にも反対論が広がっている。

(解説)
 オスプレイは、これまで普天間に配備されていたCH46中型ヘリと比べると、最大時速は約520キロ(CH46は270キロ)、航続距離が3,900キロ(同700キロ)と向上。CH46で出来なかった空中給油も可能で展開力が大幅に上がる。米軍の戦略上、中国の太平洋進出をけん制する重要性が高まっており、オスプレイの日本配備はその一環だ。
 しかしオスプレイは「未亡人製造機」と揶揄されるほど、開発段階の1991年から何度も墜落事故を繰り返し、犠牲者も30人を超えた。2000年には米国内の夜間訓練中の墜落事故で19人が死亡。10年にはアフガニスタンで輸送中に4人が犠牲となり、12年には4月にモロッコの訓練中に2人が死亡、6月には米フロリダの訓練で5人が負傷した。モロッコではプロペラの向きを上から横に変える途中に追い風を受け墜落。モロッコ以外の事故では、操縦ミスや機体の不具合など様々な原因が指摘されてきた。

 米国は岩国で試験飛行を行い、安全が確認できれば10月から普天間で運用する方針。しかし安全性への疑問が消えないため、基地の地元を中心に反対論が強まっている。日米安保条約では、米側が「重要な装備変更」を行う場合、日本側と協議することになっているが、日本政府が解釈する「重要な装備」とは核弾頭や中長距離ミサイル配備などで、オスプレイは対象外という。こうした政府の姿勢に対し、「米国にモノ言わぬ首相」(12年7月21日付毎日新聞社説)など国内の批判が強まりそうな気配で、消費増税、原発再稼働への対処に苦しむ野田政権にとって新たな懸案になっている。


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