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中国書記官スパイ疑惑
【ちゅうごくしょきかんすぱいぎわく】

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(概要)
 在日中国大使館の李春光・一等書記官が農水省の機密文書の内容を入手するなどスパイ活動を行ったとされる疑惑。
 警視庁公安部は2012年5月中旬、李書記官が08年に銀行口座を開設する際、外交官の身分を隠し不正取得した外国人登録証明書を使ったなどとして外国人登録法違反容疑で中国大使館に書記官に出頭を要請。しかし李書記官が同23日に帰国したため、公安部は同31日に書類送検した。
 中国外務省は、日本での関連報道に「全く根拠がない」と否定しているが、農水省が調査に乗り出すなど波紋を広げている。

(解説)
 李書記官は90年代以降、度々来日。松下政経塾にも在籍した経歴があるが、警察当局は、中国の情報機関・人民解放軍総参謀部第2部出身で諜報活動をしていたとみている。
 しかし日本は、「スパイ天国」とも揶揄されるようにスパイ活動を直接取り締まる法律がなく、外国人スパイの立件は、旅券法違反や公正証書原本不実記載といった「形式犯」で行われることが多い。
 今回の立件も、李書記官の日本国内での情報活動そのものではなく、かつて在籍した東大の研究員であると身分を偽って東京・葛飾区役所に外国人登録証明書更新を不正に申請・取得した、という疑いだった。ただし、李書記官が外登証を使って開設した銀行口座は、スパイ活動費のねん出のためとみられ、中国に進出を目指していた都内の健康食品会社からの顧問料がこの口座に振り込まれていたという。

 スパイ疑惑のある外国人が外交官であれば不逮捕特権があり、警察も李書記官の逮捕に至らないことは織り込んでいたとみられる。公安警察はスパイを“泳がせ”、その活動の実態をつかむことを優先しており、立件は、日本人から機密情報が提供される瞬間などをタイミングに行う。
 李書記官は筒井信隆・農水副大臣が主導していた農産物の対中輸出促進事業に関与。その過程で農水省の機密が漏れた疑いが浮上し、政官界に波紋を広げているが、警察当局がこのタイミングで立件に乗り出した背景も注目される


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