割れ窓理論
【われまどりろん】
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米国ニュージャージー州ルトガーズ大学刑事司法学部教授のジョージ・ケリング博士が提唱した犯罪抑止理論。
たとえ法に反していない小さな秩序違反行為(威圧的な服装で町を闊歩する、若者が集団でたむろする等)でも、それを放置し続けると、犯罪者に対して「この地域は秩序維持に不熱心です」というサインを送ることになる。またそうした秩序違反行為が頻発するようになると、無力感からその町の住人が治安維持に対して消極的な姿勢を示すようになる。
こうして小さな秩序違反行為を見逃し続けた結果、その町の治安が徐々に悪化し、ついには法を犯す軽犯罪・凶悪犯罪も多発するようになっていく。このことを同博士が「割れた窓を1つでも放置しておけば、いずれは他の窓も全て壊される」という比喩で示したことから「割れ窓理論」の名が付いた。
1994年にはニューヨークのジュリアーニ市長がこの理論を基に警察官5000人を採用、割れ窓の一掃を図り、急速にニューヨークの治安を回復させた。日本でも警察庁が『警察白書(2003年)』で「犯罪の発生を抑止するためには・・・街頭犯罪等に発展するおそれのある行為を検挙する」必要があるとの見解を示している。
こうした流れを受け、法の執行役である警察官と並んで、法が犯される前段階で活動する民間警備会社や地元住民による地域パトロールの役割が再評価されている。今後、治安を維持するための対策は、犯罪そのものの取り締まりからその芽を摘み取る方向へ、ますます加速していくことになるだろう。
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