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疾患解説

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甲状腺機能亢進症/バセドウ病【こうじょうせんきのうこうしんしょう/ばせどうびょう】
Hyperthyroidism/Basedow's Disease

[受診科] 心療内科・精神科
受診のコツ

【概説 】
 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることによって多彩な全身症状を呈する病気です。典型的には、目が突出して、のどがはれて(甲状腺腫)、汗をかきやすく、活動的になるという状態です。昔から「驚愕(きょうがく)バセドウ」という言葉があって、何かショックな体験をした後にバセドウ病が発症することが知られており、心身症の代表的な疾患と考えられています。日本での有病率は0.6%くらいで、女性に多く発症するという特徴があります。
【症状 】
 バセドウ病の症状は、疲れやすい、汗が多い、動悸、手足のふるえ、多動、体重減少などの身体症状と、精神症状としては焦燥(しょうそう)感、いらいら、落ち着きがない、注意集中が困難、多弁、過敏で興奮しやすい、感情が不安定などがあります。循環器系では、頻脈(ひんみゃく)、時に一時的な心房細動(しんぼうさいどう)が起こるので、不整脈をみたら甲状腺機能をチェックする必要があります。精神症状も多彩ですので、不安神経症やパニック障害、ヒステリー、躁(そう)病などと間違われやすいので注意が必要です。
【診断 】
 上記のような特有の症状と眼球突出、甲状腺腫があれば、検査をしなくても診断は可能です。検査としては、血液中の甲状腺ホルモン(T3、T4)を測定し、過剰であれば確診できます。他に、超音波検査や放射性同位元素を使ったシンチグラム(シンチグラフィによって得られた像)などで甲状腺腫の診断をすることもあります。
【標準治療 】
 バセドウ病の治療は、抗甲状腺剤による内科的治療、131I(ヨウ素-131)による放射線治療と外科的に甲状腺を切除する方法があります。最近では、インフォームド・コンセントが重要視されているので、それぞれの治療法のメリット、デメリットについてよく説明し、患者さんの同意のもとに治療を進めることになります。
 内科的治療では、抗甲状腺剤とβ遮断薬を併用します。1カ月くらいで自覚症状は軽減しますが、かなり長期間継続して服用する必要があります。放射線治療は、30歳以上で、妊娠の予定のない人で、短期間の治療を望む人、内服治療ではコントロールが難しい人、再発した人などが適応です。
 手術は、甲状腺腫が大きい場合、他の治療で困難な場合、短期の治療を望む人が適応です。心理・社会的要因が発症や経過に強く影響している場合は、心理療法(カウンセリング)や自律訓練法などのリラックス法、抗不安薬などの併用が奏功します。いずれにしても、病態や治療方針についてよく説明を聞き、信頼関係を築いて治療に積極的に参加するとともに、病気について悲観して不安に陥らないように心理的に援助を受けることが基本的に重要です。
【生活上の注意/予防 】
 バセドウ病の発症や経過には、生活上の大きな出来事(ライフイベント)や日常の慢性的ないらだち事の両方が関係していることが知られています。日頃から休養、運動などのストレスをためないライフスタイルを確立し、気分転換やストレス解消に心がけることが大切です。症状のある時には、ひたすらに心身の安静に努め、刺激的なことは控えるようにしましょう。最近の医療の発達はめざましいものがあり、必ずよくなる病気であることを信じて悲観的にならないようにしましょう。
このページの執筆医師【野村忍

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【出典】 寺下謙三/日本医療企画
標準治療(第3版)