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疾患解説

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不安神経症【ふあんしんけいしょう】
Anxiety Neurosis

[受診科] 心療内科・精神科
受診のコツ

【概説 】
 不安や恐怖といった感情は誰でも経験するものですが、いざ定義するとなると簡単ではありません。とりあえず、不安とは「漠然とした未分化な恐れの感情」で、恐怖とは「はっきりとした対象に対する恐れ」と一応の区分がされています。また、不安には健康な人の経験する不安と病的な不安があります。
 健康な不安とは、[1]ふさわしい理由、状況がある、[2]言葉で表現可能である、[3]人にわかってもらえる、[4]あまり長く続かない、というものです。それに対して病的な不安とは、[1]しかるべき理由がない、[2]言葉で表現するのが難しい、[3]人にわかってもらえない、[4]かなり長く続く、いったん消えてもまた再現するという特徴をもっています。不安・恐怖は、本来外敵の危険を察知して身の安全を守るための警報システムですが、これが過敏に反応しすぎたり、自分でコントロールできなくなった時には、いろいろな障害が生じ社会生活を送る上で支障をきたすようになります。
【症状 】
 不安神経症の症状には、精神的症状と身体症状があります。精神症状としては、不安、過敏、焦燥(しょうそう)、緊張、混乱、抑うつなどがあり、身体症状としては、動悸、頻脈(ひんみゃく)、胸部不快感、胸痛、息切れ、呼吸困難、めまい、ふらつき、下痢、腹痛、不眠、しびれ感などいろいろな自律神経症状があります。また、行動上の問題としては、ある状況や空間を怖がる、社会適応がうまくいかない、アルコールや薬物に依存するなどがあります。
【診断 】
 不安神経症は、最近では急性の不安発作(パニック発作)を繰り返すパニック障害と、慢性的に不安感と同時に様々な身体症状を訴える全般性不安障害の2群に分けられています(パニック障害については「パニック障害」の項参照)。全般性不安障害の診断基準は、過剰な不安と心配が6カ月以上にわたって続くこと、それを自分でコントロールが難しいと感じていること、下記の6つの症状のうち3つ以上あることです。
 [1]落ち着きのなさ、緊張感、過敏、[2]疲労しやすいこと、[3]集中困難、[4]易刺激性、[5]筋肉の緊張、[6]睡眠障害。そして、これらの症状が身体疾患やほかの精神障害によるものではないことが前提です。
【標準治療 】
 不安神経症の治療は、薬物療法と心理療法です。薬物療法としては、ベンゾジアゼピン系抗不安薬がよく効くので、たいていの場合はある期間抗不安薬を飲むことで精神症状も身体症状も改善します。しかし、心理的葛藤やストレスを抱えている場合、性格的にもともと神経質でちょっとしたことに過敏に反応しやすい人は、何らかの心理療法を受ける必要があります。心理療法には、一般的な心理療法(カウンセリング)、行動療法認知行動療法あるいは精神分析療法などがあります。また、自律訓練法などのリラックス法を習得して、セルフコントロールに心がけることも大切です。
●標準治療例
[1]不安の軽い場合
 ・リーゼ(5mg)  1回1錠1日3回(毎食後) あるいは
 メイラックス(1mg)  1回1錠1日2回(朝夕)
[2]不安の強い場合
 ・ソラナックス(0.4mg)  1回1錠1日3回(毎食後) あるいは
 デパス(0.5mg)  1回1錠1日3回(毎食後)
[3]心気症状がある場合
 ・レキソタン(2mg)  1回1錠1日3回(毎食後)
[4]抑うつを伴う場合
 ・抗不安薬にパキシル(10mg)  1回1錠1日1〜2回を加える。
[5]不眠を伴う場合
 ・就寝前に睡眠導入薬ハルシオン0.125mg〜0.25mgを追加する。
【生活上の注意/予防 】
 日頃からストレスをためない、過労にならない、生活のリズムを整える、運動や休養を十分にとるなど一般的な健康法が重要です。そして、一人でくよくよ考えることはよくないので、誰かに気軽に相談できるようにすることが大切です。
このページの執筆医師【野村忍

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【出典】 寺下謙三/日本医療企画
標準治療(第3版)