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疾患解説

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胆嚢ガン【たんのうがん】
Gallbladder Cancer

[受診科] 消化器
受診のコツ

【概説 】
 肝臓でつくられた胆汁が流れていく経路を胆道と呼び、胆管と胆嚢に大きく分けられます。胆嚢は胆汁をためて濃縮し、食事(とくに脂肪)に反応して収縮し、十二指腸へ胆汁を排出します。胆嚢ガンのわが国での頻度は人口10万あたり2人程度といわれ、男女比は1:2〜3で女性に多いガンです。年齢では60歳代にピークがあり、次いで70歳代に多く、高齢者に多いガンという特徴があります。胆嚢ガンの半数以上に胆石があり、胆石の1〜3%に胆嚢ガンを合併するといわれていますが、胆石が胆嚢ガンの直接の原因にはならないと考えられています。
【症状 】
 胆嚢ガンはある程度進行するまで症状はほとんどありません。検診や他の病気で念のため行った腹部超音波検査で胆嚢のポリープが見つかり、よく調べるとガンだった、というケースもよくみかけます。胆嚢ガンに合併した胆石や胆嚢炎の症状、つまり腹痛や発熱で見つかることもあります。胆管まで浸潤した進行ガンでは黄疸(おうだん)をきたすこともあります。
【診断 】
 超音波、CTは必須の検査で、その他に超音波内視鏡(EUS)、血管造影、ERCP(内視鏡的膵管胆管造影)、MRCP(核磁気共鳴影像法による膵管胆管造影)などの検査が必要に応じて選択されます。まず超音波検査で胆嚢壁の異常を検出し、壁の深達度を精査するために超音波内視鏡を、肝転移やリンパ節転移のチェックのためにCTを行う、というケースが多いようです。黄疸がある場合はPTCD(経皮経肝胆道ドレナージ)を行うこともあります。
 腫瘍マーカーではCA19-9が75%に陽性、CEAは50〜90%に陽性といわれていますが、とくにCA19-9は良性の胆嚢炎でも上昇することがあり、注意が必要です。
【標準治療 】
 胆嚢ガンを根治させるためには現在のところ手術以外に方法がありません。手術できない症例や手術後に再発した場合に抗ガン剤や放射線治療が行われますが、ある程度の延命効果しかありません。治療成績はガンの深達度(図:胆嚢ガン深達度参照)、リンパ節転移の有無で大きく異なります。
●標準治療例
1)手術
 根治的な治療法は手術だけですが、胆嚢ガンの深達度によって術式が異なり、前に述べたように治療成績にも大きな違いがあります。手術の方針は施設によって少しずつ違うので、ここでは一般的な方針を示します。
[1][2]m,mpガン:単純胆摘(胆嚢だけを取る手術で、胆石の手術とほぼ同じ)。
[3]ssガン:拡大胆摘術(胆嚢が付着している肝の一部を合併切除する。肝床切除ともいう)。胆管は浸潤がある場合のみ切除し、リンパ節廓清(かくせい)は2群まで行います(定型的な廓清)。
[4][5]se,siガン:拡大胆摘術を基本とし、必要に応じて肝切除(拡大右肝切除など)、膵頭十二指腸切除などを組み合わせます。十二指腸や結腸に浸潤している場合はこれも合併切除し、リンパ節廓清は2群までの定型的な廓清が基本で、拡大廓清を行うこともあります。進行ガンに対する拡大手術、拡大廓清の延命効果についてはまだはっきりしたデータがなく、各専門施設での挑戦が続いています。
2)姑息手術
 切除不能例でガンによって十二指腸などの通過が悪い場合に、食事を通すためのバイパス手術(胃空腸吻合〈ふんごう〉など)を行うことがあります。
3)化学療法
 切除不能例や再発例に対して行われます。塩酸ゲムシタビン(GEM)とテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(TS-1)が有望な薬剤として広く用いられています。
【予後 】
 ガンが粘膜内か固有筋層にとどまるm,mpガンはリンパ節転移はまず起こらず、5年生存率もほぼ100%と良好で、治るガンの典型です。一方、漿膜(しょうまく)に露出したり、隣接臓器に浸潤するような進行ガン(se,siガン)では拡大手術をしても予後は不良で、5年生存率は20〜30%程度です。その中間の漿膜下層まで浸潤したssガンの予後は50〜70%と報告されています。
【生活上の注意 】
 胆嚢ガンの術後は胆摘や拡大胆摘では通常とほとんど変わらない生活が可能です。膵頭十二指腸切除などをあわせて行った場合は食事の量が減ったり、軽い糖尿病になることがありえますが大きな障害はありません。むしろ、定期的な検査(採血、CTなど)を確実に受けることが重要です。
このページの執筆医師【國土典宏

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【出典】 寺下謙三/日本医療企画
標準治療(第3版)