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疾患解説

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大腸ガン/結腸ガン・直腸ガン【だいちょうがん/けっちょうがん・ちょくちょうがん】
Colon And Rectal Cancer

[受診科] 消化器
受診のコツ

【概説 】
 良性のポリープが大きくなりガン化する場合と、はじめからガンの状態で現れる場合があるようです。大腸は、右下腹部の盲腸からはじまり上行(じょうこう)結腸・横行(おうこう)結腸・下行(かこう)結腸・S状(えすじょう)結腸・直腸までをいいます。直腸を除く大腸を結腸といいます(図:大腸)。
 発生しやすい部位としてはS状結腸や直腸が多いようです。全大腸ガンの70%強を占めています。盲腸や上行結腸・横行結腸の右半分(右半結腸)のガンは症状が現れにくく、進行した状態で診断されることがあります。それは、腸内容物がその部位ではまだ液状なので通過障害などが起こりにくいからなのです。それに比べ下行結腸・S状結腸や直腸は比較的症状がでやすいのです。
【症状 】
 日頃便秘でない人が便秘になったり、下痢と便秘を繰り返すようになったり、下血(げけつ:出血を伴う大便)・腹痛・腹満感などがありますが、大腸ガンに特異的な症状はありません。便通の異常が続いたら検査を受けて下さい。出血を痔(ぢ)からのものだと自己判断し手遅れになった場合も見かけます。ガンによる狭窄(きょうさく)が強くなると食欲不振や嘔吐(おうと)や腹部膨満(ぼうまん)など腸閉塞(へいそく)の症状が現れてきます。
【診断 】
 注腸(ちゅうちょう)検査や大腸内視鏡を行います。注腸検査とは、お尻からバリウムや空気を注入し大腸の形態をみる検査です。大腸内視鏡検査は、大腸の粘膜面の変化をみる検査になります。大腸は胃と違って長さや走行(腸の形)や移動性に個人差があるので、受けるほうもつらい検査ですが、行うほうもつらい検査になることがあります。
【標準治療 】
 注腸検査や大腸内視鏡検査でポリープを指摘されると、内視鏡的な切除が可能な場合はまずポリープを切除します。電気メスのようなものでポリープの首根っこを切除します。切除したポリープの病理検査の結果を待ちます。ポリープの先端にのみガンがある場合は追加治療は不要で、それに関しては完治と考えていいでしょう。内視鏡医の技術の向上と機器の進歩で、内視鏡で切除できる大きさや深さの範囲が広がってきています。もし断端部にガンの一部があるような時は、追加切除や手術が必要になります。また進行ガンがみつかった場合は手術療法が第1選択となります。
 進行程度や位置により切除範囲が変わります。この分野でも腹腔鏡(ふくくうきょう)を用いた手術が増加してきてます。直腸ガンの場合は人工肛門を造設しなければならない場合もあります。最近は消化管吻合(ふんごう:つなぎ合わせ)は器械吻合が主流です。この吻合器を駆使することによってかなり肛門に近いガンに対しても腸をつなぎ合わせることが可能になってきています。つまり、人工肛門をつくる症例が減ってきているということです。
 しかし無理につなぎ合わせることにより術後痛みを訴えたり、便意が頻繁になり失便したりして日常生活に支障がでることがあります。人工肛門造設とは、直腸ガンで病巣が肛門に近い場合や血流の問題で腸どうしの吻合ができないときに、主に左側腹部に大腸の断端をもちあげて排便機能を移設することをいいます。人工の機器を用いるわけではありません。その他の疾患でも人工肛門の造設が必要になる場合もあります。
《緊急時の対応》
 胃ガン同様、この病気も緊急時では遅いのです。早期発見・早期治療が基本です。ガン特有の症状はありません。何か変わったことがあればガンを否定する意味でも検査を受けて下さい。
【予防 】
 食習慣の欧米化に伴い大腸ガンは増加傾向にあります。食事に注意することも大事かもしれません。が、しかし残念ながらこれだけ医学が進んだ現在でも早期発見・早期治療で完治できる状態のガンを見つけるのがガンで死なないための唯一(いいすぎかもしれないがそれに近い)の手段です。
 異論はあるようですが、そのためには定期検診が必要になってきます。検査はまず、便の潜血(せんけつ)検査(便に血が混じっていないかを調べる検査)を何回か行い、陽性が続くようなら(もちろん大腸だけでなく他の消化管からの出血でも陽性になる)精密検査を受けて下さい。盲腸までみる内視鏡検査は時に苦痛を伴うので、とくに症状のない検診の場合はS状結腸までの観察でも有意義だと私は考えます。
【生活上の注意 】
 胃ガンや食道ガンの場合と同様で、病期の進行度により補助免疫化学療法が必要になることがあります。再発や薬の副作用をチェックするために定期的な検査や通院が欠かせません。肝臓への転移による再発が多くみられますが、単発の場合は手術することによりかなりの延命効果が期待できます。
 手術による後遺症ですが、結腸右半分の手術の場合はあまり障害がないようです。S状結腸から直腸の切除では便意頻回(たびたびもよおすこと)・下痢・肛門痛などがあります。
 リンパ節廓清はガンに対する手術の場合に行われます。リンパ腺にのって転移を起こす危険性があるため周囲のリンパ節を取り除く(廓清)ことが必要となります。そのリンパ節(腺)は血液や神経と密接して存在するため、廓清の際、膀胱や陰部に分布する神経が犠牲になることがあります。そのため排尿障害や性機能障害をきたすことがあります。また自己導尿(膀胱まで管を入れ排尿すること)が必要になることもあります。
このページの執筆医師【寺下史朗

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【出典】 寺下謙三/日本医療企画
標準治療(第3版)