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疾患解説

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慢性胃炎【まんせいいえん】
Chronic Gastritis

[受診科] 消化器
受診のコツ

【概説 】
 組織学的には胃粘膜の慢性炎症と胃腺の萎縮(いしゅく)を主要所見とするものをいいます。その萎縮性変化が以前は加齢による退行現象と考えられてきましたが、あのピロリ菌が関与していることがわかってきました。
 他の原因としては、胃ガン、胃ポリープなどの胃の腫瘍(しゅよう)や胃潰瘍(かいよう)、十二指腸潰瘍あるいは胃切除術などがあげられます(これらによる胃内容物の長期停滞や腸液の逆流が原因と考えられます)。
【症状/診断 】
 特有の症状のないことが特徴の病気です。ですから、検診の際に指摘されてびっくり、ということが多いようです。症状としては、上腹部の不快感・もたれ感、食後の胃痛、胸やけ、吐きけ、嘔吐(おうと)などがあります。少し食べ過ぎたり飲み過ぎたりすると、すぐに上腹部が重苦しくなりますが、規則正しい生活に戻すと自覚症状はほとんど消えてしまうことが多いです。それらの症状に伴って食欲不振や全身倦怠感がでてくることもあります。症状の強いものになると、粘膜からの出血を起こす場合もあります。
【標準治療 】
 やはり急性胃炎と同様、胃を休めてあげることと、胃潰瘍の治療にそった薬物療法の2つが中心となります。胃を休めるには、[1]食事時間は規則正しくする、[2]飲み過ぎ、食べ過ぎを避ける、[3]刺激物や嗜好品を控える、[4]良質のタンパク質やビタミンをとるなど難しいことばかりですが、適切な食事療法が必要です。また、冷たすぎるもの・熱すぎるもの・固いものも避けたほうがいいです。とくにお年寄りは消化機能が低下しているので気をつけたいものです。
 空腹時などに痛みがある時は牛乳を飲むことにより痛みがやわらぎます。お粥など軽い食事をしてもいいでしょう。慢性胃炎と診断されたからといってあまり神経質にならなくてもいいと思います。とくに自覚症状のない場合には積極的な治療は必要ありません。しかし萎縮性変化からガン化の可能性もいわれており、年1回程度の定期的な検査は受けたほうがいいでしょう。なお、ピロリ菌を取り除く必要もあるといわれていますが、現在のところ慢性胃炎にはピロリ菌除菌療法は保険適応されていませんが、近い将来、保険適応されるようです。
【生活上の注意/予防 】
 飛行機にも金属疲労があるのと同様、人間も毎日食事をとっているわけですから、年をとっていくと胃も次第に疲労していきます。ですから、粘膜の変化もある程度はどうしようもありません。常日頃、胃の負担をなるべく少なくするように心がけることが胃を長持ちさせる唯一の秘策なのです。それには、食生活に注意することが大切です。治療のところでも述べましたが、栄養バランスに気をつけ、規則正しい食事時間を守って下さい。なかなか難しいことで、仕事をしているとそういうわけにはいきませんが、できるかぎり守りましょう。それを補うためにも適度な運動や休養もとりたいものです。なぜなら、心の病気やストレスも胃の症状として現れることがあるからです。胃と心に優しい生活を心がけましょう。
このページの執筆医師【寺下史朗

【出典】 寺下謙三/日本医療企画
標準治療(第3版)