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疾患解説

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心筋炎【しんきんえん】
Myocarditis

[受診科] 心臓・血管
受診のコツ

【概説 】
 心筋に何らかの原因により炎症が起こり、心不全などを引き起こす病気が心筋炎です。炎症を起こす原因としては、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫などによる感染、放射線、薬物、毒物などによる中毒性、膠原(こうげん)病などの全身疾患に合併するものなど様々のものがありますが、最も多い原因はウイルス感染によるものです。なかでもコクサッキーウイルスによる場合が多く、心筋炎を発症する1〜2週間前に先行するウイルス感染による上気道感染症状あるいは消化器症状を認めます。ウイルス感染に罹患した場合、どのくらいの頻度で心筋炎を発症するかについてはよくわかっていません。
【症状 】
 心筋炎に特異的症状はなく、また概説で述べたようにウイルス感染後の正確な発症頻度もわかっていないことから、発熱、上気道感染症状あるいは消化器症状などのいわゆるかぜのような症状があった後に動悸、呼吸困難、胸痛、疲れやすさなどの症状が出現した場合には心筋炎を疑い検査を受けるべきです。
【診断 】
 診断についても心筋炎に特異的なものはなく、症状で述べたような経過で何らかの胸部症状あるいは疲れやすさなどを認めた時には本疾患を疑い、まず心電図、胸部単純写真、血液検査が行われます。これらの検査で心筋炎が疑われた場合には心エコーなどの専門的検査が行われます。一方では、原因となっているウイルスの同定のために血液のウイルス抗体価を調べたり、最近では心筋生検を行い遺伝子解析によるウイルスの同定も行われています。
【標準治療 】
 最も多い原因がウイルス性心筋炎ですが、これに対する特異的な治療法はまだ確立されていません。したがって、心筋炎の程度が強く、心不全に陥っている時には抗心不全治療を、不整脈を認める時には抗不整脈治療などが必要となってきます。劇症型で、急性期の心不全状態が重症な場合には、薬物治療とあわせ機器を用いた補助循環が使用されることがあります。
【予後 】
 約半数の例は後遺症を残さず治癒しますが、一部の例では拡張型心筋症へと移行する場合があり予後不良となります。
このページの執筆医師【白井徹郎

【出典】 寺下謙三/日本医療企画
標準治療(第3版)