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疾患解説

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不整脈【ふせいみゃく】
Arrhythmia:Pulsus Irregularis

[受診科] 心臓・血管
受診のコツ

【概説 】
 不整脈という病気は、その名が示す通り脈の乱れを意味していますが、内容的には仮に不整脈を認めてもそのまま放置しておいてもよいものから、直ちに治療を開始しなければ命にかかわるものまで極めて多彩です。不整脈が出現することで強い自覚症状を認める場合、心筋梗塞、心筋症などの心臓の病気をもともともっている方で心電図上危険なタイプとされている不整脈が検出された場合などは治療の対象となることが多いですが、健診の心電図などでたまたま不整脈が検出される場合などでは、治療の必要性がないことのほうがむしろ多くなります。
 不整脈がなぜ出現するかについての説明、理解は難しいと思われますが、心臓が規則正しく収縮と拡張を繰り返し正常のポンプ機能を維持するには、その指令となる電気的信号が必要で、この電気的信号の乱れが不整脈であるととりあえず解釈していただくのがいいかと思います。電気的信号の乱れは、心臓に何らかの疾患があって出現する場合と、そのような疾患がなく出現する場合とがあります。不整脈の種類は多数あり、脈の規則性が失われるもの、規則性はあるが脈の数が異常に多くなる(速くなる:頻脈〈ひんみゃく〉)もの、逆に異常に少なくなる(遅くなる:徐脈〈じょみゃく〉)ものなどに大きく分けることができます。
【症状 】
 最もよくみられる症状は、ドキドキあるいはドキンドキンとした感じ、脈が跳ぶ感じ、胸が脈打つ感じなどで、これらをまとめて動悸(どうき)と表現される場合もあります。しかし、胸部の圧迫感、違和感、胸痛などを訴え、狭心症との区別が必要となる場合もあります。それ以外の症状としては、脈拍数が極端に低下するあるいは逆に極端に増加する場合で心臓から十分な血液量が拍出できなくなった場合には、脳の循環不全によりめまいあるいは失神(一過性に意識が消失する症状)が出現することがあります。
【診断 】
 今までの話の内容からわかるように不整脈にはいろいろなタイプのものがあります。したがって、正確に診断するには心電図検査が不可欠です。ただし、通常の心電図では記録している時間が短く、問題となっている不整脈をとらえることができないことがあります。そこで長い時間の記録が可能なホルター心電図(24時間記録心電図とも呼ぶ)が有用となります。この装置はタバコの箱より小さく、装着中にも通常の仕事は可能で(ただし、一般には入浴・シャワー浴は不可ですが、最近それが可能となる装置が使用できるようになっています)、外来でできる不整脈診断上、大変役に立つ検査法です。重症な不整脈では電極カテーテルを心臓内に挿入し、不整脈の起こり方をみる検査が行われることもあります。
【標準治療 】
 不整脈の中でも放置しておくと命にかかわるようなものは、直ちに治療が開始されます。治療法には薬物治療と非薬物治療とがあります。薬物治療は、抗不整脈薬と呼ばれる不整脈を抑制する力のある薬剤を使用します。非薬物治療には、電気ショック(最近話題となっている自動体外式除細動器〈AED〉もその1つです)により不整脈を停止させる方法や、電極カテーテルを心臓内に挿入し、電気信号を体外より送り不整脈を停止させたり、脈が遅い場合ではこの電気信号で脈を維持する(体外ペーシング)方法などがあります。
 緊急性がない場合には、自覚症状の程度、不整脈の重症度、背景にある心疾患の程度などを参考にして、まず第一に治療の必要性の有無を判断します。一般には、自覚症状がなく、不整脈以外に特別な心疾患がない場合には、治療はせずに様子をみることになります。
 治療法には、やはり薬物治療と非薬物治療とがあります。非薬物治療には、脈拍数が低下する徐脈性不整脈に対するペースメーカー植え込み術、逆に増加する頻脈性不整脈に対する電気的焼灼(しょうしゃく)術などがあります。心室細動や心室頻拍といった重症心室性不整脈を認め、急死する可能性が高い場合には植え込み型除細動器(ICD)が必要となります。
【予後/生活上の注意 】
 予後は不整脈の種類および背景にある心疾患の重症度により異なりますが、健診で見つかるようなものの多くは予後良好です。飲酒、喫煙、不眠、過労などは一般に不整脈発生の誘因となると考えられているので、不整脈を認める人はこれらの点に注意が必要となります。
このページの執筆医師【白井徹郎

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【出典】 寺下謙三/日本医療企画
標準治療(第3版)