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無洗米
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雑学科学読本 身のまわりのモノの技術生活で使うモノの技術 >

古来、日本人の習慣として、米を炊(た)く前にまず研(と)いでいた。しかし近年、研がなくてもいい無洗米(むせんまい)が市販され、人気を博している。忙しい現代人にはたいへんありがたい商品だ。無洗米の製法を理解するには、米が精米される過程を知っておく必要がある。まず、稲から刈り取られて脱穀(だっこく)された籾(もみ)からはじめよう。籾から殻を剥がし、中身を取り出すことを「籾摺(す)り」と呼ぶ。取り出された中身が玄米(げんまい)だ。玄米は栄養価が高く、そのままでも炊いて食べられるが、通常はさらに表面から糠ぬかを剥がして白米(はくまい)にする。この過程を精米(せいまい)と呼ぶ。この白米が米穀店やスーパーなどで売られる普通の米だ。白米も、玄米と同様にそのまま炊いても食べられるが、白米に残っている糠成分(肌糠(はだぬか))を剥がすとさらにおいしく炊けるようになる。この「肌糠剥がし」の過程が「米を研ぐ」という行為なのである。無洗米は、白米に着いた肌糠をあらかじめ剥がしておくことで、私たちが「米を研ぐ」手間を省いてくれているのだ。では、どうやって剥がすのだろうか。いくつもの方法が開発されているが、ここでは大きなシェアを占めている「BG精米製法」を紹介しよう。これは糠で糠を削り取る方法で、「糠と糠、そして糠と金属が付着しやすい」という性質を巧みに利用している。しくみはそれほど複雑ではない。白米をステンレス製の筒内に入れて攪拌(かくはん)しているのだ。白米が攪拌されると、肌糠がステンレス壁に付着する。この付着した肌糠に他の米粒の肌糠が次々と付着し、ほとんどの肌糠が米から分離されるのである。ちなみに、玄米を白米にする精米機も似たしくみを利用している。精米機の中で玄米同士をすり合わせ、その摩擦で糠をこすり取っているのだ。無洗米というネーミングに「米は『研ぐ』ものであって『洗う』ものではない」と異議を唱える人も多い。現在では、「米を洗う」と言う人も増えており、どちらを使っても許されるようだ。


中経出版
「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」
JLogosID : 14820744


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【この辞典の書籍版説明】

「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」涌井良幸・涌井貞美

身のまわりの「便利なモノ」にはすべて、「便利さの理由」があります。でも、私たちはそれをよく知らないまま、日々生活していることがほとんどではないでしょうか。本書は、家電からハイテク機器、身近な家庭用品まで、私たちが日頃よく使うモノに関する素朴な疑問を図解で解説。「モノ=科学技術の結晶」たる所以がこれでわかります

出版社: 雑学科学読本 身のまわりのモノの技術[link]
編集: 涌井良幸・涌井貞美
価格:648円+税
収録数:
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発売日:
ISBN: 978-4-8061-4455-7