ループ橋
【るーぷばし】
【道と路がわかる事典】 6章 橋とトンネルの雑学 >
ある地点からある地点まで、直線で結べば距離は最も短くて済む。だが、日本は山国のため、どこへ行くにも山が障害になっている。その山の向こう側へ行くには、迂回するか、山にトンネルを掘るか、あるいはその山を登って越えるしかない。わが国ではこれまで、迂回するか、山に九十九折れの道路をつくって峠を越える方法が主にとられてきた。長大トンネルを建設する技術もなければ、経済力もなかったのである。そのため、直線で結ぶ場合の三倍も四倍もの距離になることも少なくなかった。最近はトンネルの掘削技術も進歩し、峠にトンネルを建設するケースが多くなってきている。
高度差を一気に稼ぐ方法に、ループ橋の建設がある。道路を螺旋状に登っていくのである。こうすれば、一気に高度を上げることができ、緩やかな勾配の道路を建設することが可能となる。
ループ橋は滅多に見ることはないが、よく知られているのが、伊豆下田から天城峠へ抜ける国道四一四号線上にある河津七滝(かわずななだる)ループ橋だ。高度差の大きい天城山麓の道路勾配を緩めるために、昭和五六年に建設されたものである。直径八〇mの環状の道路を二段に重ね、四五mの高度差を一気に稼いでいる。九州を走る国道二二一号の、人吉市とえびの市間にも、ループの直径が約一九〇mという世界最大規模の人吉ループ橋がある。
鉄道にもループ線がある。熊本県人吉市の肥薩線にあるループ線が日本では最も古く、一九〇九(明治四二)年に開通している。上越線の清水トンネルも、北口と南口の二か所にループ線を持っている。
だが、近年の土木技術の進歩はめざましく、長大トンネルの建設でループは必要ではなくなってきている。
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【この辞典の書籍版説明】
「道と路がわかる事典」浅井 建爾 |
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道を切り口に日本を旅する楽しみに出会う本。身の回りの生活道路の不思議から、古道の歴史、国道や高速道路、橋やトンネル、乗り物まで道と路に関する知識が満載。 |
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