サイクリングロード
【さいくりんぐろーど】
【道と路がわかる事典】 5章 いろいろな道 >
徒歩からはじまった陸上交通も、今や高速道路の時代である。昔は一〇日も二〇日もかけて苦労して歩いた道を、わずか数時間で走り抜けてしまうのだ。道路交通が発達する一方で、環境は破壊され、人々の心までもが虫食まれてきたといっても過言ではない。
“人間性の回復”が叫ばれて久しいが、動力に頼らず、自分の足で自然を体感しながら駆け巡るサイクリングが、年々盛んになりつつある。かつては、交通の手段であり荷物を運搬する道具であった自転車だが、今では健康づくりのための運動器具、スポーツを楽しむためのマシンなのである。
わが国でサイクリングロードが本格的に建設され始めたのは、昭和四〇年代のモータリゼーションの到来で、道路という道路がすっかり自動車に占領されてしまってからのことである。はじめは公園内にあるようなごく小規模なものであったが、それだけではサイクリングを存分に楽しめないと、サイクリングロードもだんだん距離が長くなり、全国各地で「大規模自転車道」と呼ばれる長距離の自転車専用道路が整備されるようになった。特に注目に値するのは、千葉県の銚子市から和歌山県の加太まで、太平洋岸に沿って走る太平洋岸自転車道。全長一二〇〇kmにもおよぶ壮大なスケールのサイクリングロードだが、まだ実現するまでには至っていない。
サイクリングロードの整備に伴って、宿泊施設やレンタサイクルを備えたサイクリングターミナルも各地に建設された。そして、サイクリングは老若男女を問わず、誰でも手軽に楽しめ、しかも健康的なレジャーとして定着しつつある。日本縦断を目指す若者から、公園内や堤防などに整備されたサイクリングロードで楽しむ家族連れまで、サイクリング愛好者は幅広いのである。
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【この辞典の書籍版説明】
「道と路がわかる事典」浅井 建爾 |
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道を切り口に日本を旅する楽しみに出会う本。身の回りの生活道路の不思議から、古道の歴史、国道や高速道路、橋やトンネル、乗り物まで道と路に関する知識が満載。 |
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