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月経異常、月経不順
【げっけいいじょう、げっけいふじゅん】

標準治療コラム > 婦人科

●月経異常
「私は生理不順なのではないだろうか?」と思っている人は意外と多いのではないでしょうか? 生理(月経)についてはあまり人と話し合う機会が少ないでしょうし、自分の月経が正常なのか異常なのかわからないまま、病院に行くにも気後れしてしまい、ひとり悩んでいる女性は少なくないと思います。
 月経異常を知るため、まず正常な月経とはどういうものでしょうか。正常月経とは、約1カ月の間隔で起こり、限られた日数で自然に止まる子宮内膜からの周期的出血と定義されます。正常月経の範囲は、[1]月経周期(月経が始まってから、次の月経がくるまでの間隔)、[2]出血がある日数、[3]月経血の量、[4]月経痛などの月経に伴う症状、に分けて考えられ、[1]から[4]のいずれかが正常から逸脱したものが「月経異常」となります。

[1]月経周期:正常/25~38日
 月経周期が25日より短いと「頻発月経」といいます。原因は排卵が起きないで月経がくる「無排卵周期」や、排卵後の黄体ホルモンというホルモンの分泌が少ない「黄体機能不全」などがあげられます。閉経前の女性は卵巣機能の低下に伴い、まず月経周期が短くなることが多くみられます。
 月経周期が38日より長いと「希発月経」といいます。若い女性での多くの原因は、「多嚢胞性卵巣(たのうほうせいらんそう)症候群」に起因する排卵障害です。この病気は超音波で卵巣をみると小さい卵胞の袋(=嚢胞)がたくさん見えるので、このような名前がついていますが、実際は卵巣の病気ではなくホルモンの異常が原因の病気です。排卵が起こりにくいため、不妊症の原因になりえます。

[2]月経持続日数:正常/3~7日

[3]月経量:20~140cc
 月経量が20ccより少ないと「過少月経」といいますが、実際に自分の月経血をわざわざ量る人はいないでしょう。ご自身で少ないなと感じた場合、または月経持続日数が3日以内の場合は過小月経と考えられます。原因は、月経となる子宮内膜が厚くならないことによります。無排卵周期の場合や黄体機能不全など、内膜が厚くなりにくい場合や、頻回な人工妊娠中絶手術などによって子宮の壁に傷がついている場合に起こります。
 月経量が140ccよりも多い場合は「過多月経」といいます。過多月経を厳密に定義づけてはいませんが、1日に頻回にナプキンを変えるか? 月経血に混じって血の固まり(凝血)がでるか? などが目安となります。原因は、子宮筋腫や子宮腺筋症、子宮内膜ポリープなどがあげられます。通常その結果として貧血に陥っている場合が多くあります。

[4]月経痛
 痛みというものも尺度がわかりにくいものですが、「日常生活に著しく支障をきたすもの」が異常と考えていいでしょう。月経になると、寝込んでしまう、などがそれにあたります。「月経困難症」といいます。原因は、ストレスや精神的な要因のもの、子宮内膜症子宮筋腫などの病気に伴うものなどがあります。


●無月経
 無月経は月経が来ない状態を指し、原発性(初経が来ない)無月経と続発性(月経があったが来なくなった)無月経に分かれます。教科書的には「18歳になっても月経が来なければ原発性無月経」と定義されます。しかし99%の女性が16歳までに初経を迎えます。18歳まで初潮が来ない方の頻度はきわめて低く、0.5%以下といわれています。そのため、15歳になっても月経が来なければ、一度病院を受診したほうが良いでしょう。
 原発性無月経の原因は、先天的(生まれつきのもの)にホルモンに異常があったり、染色体に異常があったりすることがほとんどです。
 続発性無月経で最初に疑うのは、妊娠です。妊娠が否定されたらほかの要因を考えます。月経が起こるメカニズムを考えると、脳の「視床下部」から脳の「下垂体」へホルモンを分泌するよう命令が出ます。すると「下垂体」は卵巣にホルモンを分泌するよう命令します。卵巣から2種類の女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)が分泌され、子宮の内膜に働きかけます。エストロゲンと、プロゲステロンが同時になくなると子宮内膜を維持することができなくなり、はがれ落ちます。これが月経です。これらのどこかに異常が生じれば、月経が来なくなります。
 たとえば、無理なダイエットや拒食症で月経が来なくなるのは視床下部や下垂体性の無月経です。プロラクチンというホルモンは排卵を抑制するのですが、プロラクチンを過剰に分泌する腫瘍が下垂体にできても無月経になります。また、ある種の薬剤がプロラクチンを過剰に分泌させるために無月経になることもあります。卵巣が機能しなくなれば、卵巣性の無月経です。子宮内腔が癒着したりすれば子宮性の無月経となります。
 ちなみに「閉経」は、最後の月経から12カ月間月経が来なければ閉経と定義されています。日本人の平均は50歳ですが、40歳未満で閉経した場合には、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)などになりやすいなどの合併症が多く生じてしまうので、病院で女性ホルモンの補充をしたほうがよいでしょう。 (山田朝子


寺下医学事務所
「標準治療」
JLogosID : 14820744


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【辞典内Top3】

併診  感冒様症状  粘稠性  

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「標準治療」寺下 謙三

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編集: 寺下 謙三
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ISBN: 978-4890417162