網膜裂孔・網膜剥離
【もうまくれっこう・もうまくはくり】
【標準治療】 病名 > 眼科
眼球を内張りしている網膜は、一番外側の網膜色素上皮細胞と、光・色を感知する神経網膜からなりますが、その間の接着はゆるく、何らかの原因で神経網膜が剥がれて、硝子体中に浮き上がった状態が網膜剥離です。多くは、網膜に裂け目(網膜裂孔)を伴う裂孔原性網膜剥離の形で起こります。
眼球の中を充たす細い線維でできたゲル状の透明な組織(柔らかなゼラチン状の硝子体)は、眼球の形を保ったり光を通す役目をもちますが、老化や強度近視で液化したり縮んだりした結果、硝子体が網膜から剥がれます(後部硝子体剥離)。その時に、飛蚊(ひぶん)症を自覚することが多いのですが、硝子体と網膜の癒着が強いと眼球の動きで網膜が引っぱられ、かぎ裂き状の孔(あな)があくことがあります。その裂孔から液化硝子体が網膜下に入りこんで、裂孔原性網膜剥離が起こり、障害を受けた神経網膜の範囲に応じて視野と視力が失われていきます。放置して全剥離になると失明につながります。ボールが目に当たるなどの外傷に多くみられます。
栄養障害により網膜が萎縮してできた網膜円孔では剥離に至ることは少ないです。
裂孔を伴わない網膜剥離には、滲出性網膜剥離と牽引性網膜剥離があります。滲出性網膜剥離は、ぶどう膜炎や眼内腫瘍(しゅよう)、中心性網膜症などにみられる型で、網膜血管や脈絡膜血管から網膜色素上皮細胞層のバリア機能が壊れたために、滲み出した液が神経網膜との間にたまって起きます。牽引性網膜剥離は、糖尿病性網膜症や網膜静脈閉塞症などでみられる型で、網膜上や硝子体中に出血を繰り返してできた新生血管の線維や膜が収縮して、網膜を引っぱるために起きます。
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【この辞典の書籍版説明】
「標準治療」寺下 謙三 |
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約570の病気の情報 (症状、診断方法、標準的な治療方法、予後、生活上の注意など)を診療科目別に掲載している 「家庭の医学事典」です。 |
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