慢性副鼻腔炎(蓄膿症)
【まんせいふくびくうえん(ちくのうしょう)】
【標準治療】 病名 > 耳鼻咽喉科
副鼻腔に慢性の炎症を起こす疾患のことで、俗に蓄膿症と呼ばれていた病気です。以前は、細菌感染による炎症が主な原因といわれていましたが、最近ではアレルギーを背景にした炎症が増加しています。
副鼻腔とは、鼻の中(固有鼻腔と呼ばれる)に接するように存在する、骨に囲まれたいくつかの空洞のことをいいます。具体的には上顎洞(じょうがくどう:左右の頬の部分に存在)、篩骨蜂巣(しこつほうそう:両側の眼球の間に存在し蜂の巣様の構造をしている)、前頭洞(ぜんとうどう:額の部分に存在)、蝶形骨洞(ちょうけいこつどう:固有鼻腔の最も深い部分に存在)から構成されていて、その内面は薄い粘膜で覆われています。われわれの日常生活では副鼻腔の働きを実感することはありませんし、副鼻腔炎になって初めてその存在を知ることが多いと思います。
それでは、副鼻腔はどんな役割があるのでしょうか。人は脳が発達している動物なので頭が大きくなるために、それを支える顔面骨は空洞があったほうが軽くなる、あるいは、顔面に外力が加わった時に脳に直接その力が伝わらなくてすむ、発声時の共鳴腔の役割をしているなどと考えられており、実際、他の動物と比較しても人の副鼻腔の容積は大きくなっています。これらの副鼻腔は自然口という小さな孔(あな)を介して固有鼻腔と狭い複雑な経路(中鼻道自然口ルート:Osteomeatal complex:OMC)をたどり交通しており、副鼻腔内の分泌物・細菌などを排泄(はいせつ)しています。かぜによる鼻炎や、急性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎などによって鼻腔内の粘膜が腫れたり、線毛運動が阻害されたりする、あるいは、鼻中隔彎曲(びちゅうかくわんきょく)症、肥厚(ひこう)性鼻炎により鼻腔内が狭くなると、結果的にこの交通路が遮断されてしまいます。その状態が継続することにより、副鼻腔に慢性炎症が起こります。
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【この辞典の書籍版説明】
「標準治療」寺下 謙三 |
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