良性発作性頭位めまい症(BPPV)
【りょうせいほっさせいとういめまいしょう(びーぴーぴーぶい)】
【標準治療】 病名 > 耳鼻咽喉科
寝返りを打った時や、ベッドから起きた時、あるいは上や下を向いた時など、頭の向きを変えた時に起きるめまいを「頭位性めまい」と呼びます。良性発作性頭位めまい症は頭位性めまいを起こす代表的な病気で、めまいの専門外来を受診する患者さんの半数がこの病気であるといっても過言ではないほどです。しかし診断には頭位変換眼振検査(がんしんけんさ)が必須であり、きちんと診断されない患者さんも多数いると考えられます。
病因としては、かつては内耳の耳石器や中枢(脳)の障害が考えられていましたが、三半規管(さんはんきかん)の感覚細胞(クプラ)に耳石のような物質が沈着している所見(クプラ結石症)が約40年前に剖検所見で得られて以来、三半規管障害説が定着しました。しかし約20年前に、耳石のような物質は感覚細胞に沈着しているのではなく、むしろ三半規管(カナル)の中を浮遊しているとする理論(カナル結石症)が提唱され、浮遊したこの物質を三半規管から排出させる種々の理学療法の効果が実証されるとともに、現在では大半のケースがカナル結石症で発症しているという考えが主流となりつつあります。
この耳石のような物質は、耳石器から脱落した耳石そのものだという説があります。耳石の脱落の原因としては、頭部外傷による衝撃や他の内耳疾患などの既往が明らかな場合もありますが、半数以上のケースでは原因不明です。高齢者や女性のほうが罹患(りかん)しやすい疾患であることから、加齢による退行変性やホルモンの影響なども関与しているといわれています。
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【この辞典の書籍版説明】
「標準治療」寺下 謙三 |
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約570の病気の情報 (症状、診断方法、標準的な治療方法、予後、生活上の注意など)を診療科目別に掲載している 「家庭の医学事典」です。 |
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