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腰椎分離・すべり症
【ようついぶんり・すべりしょう】

標準治療病名 > 整形外科

 椎骨(ついこつ)後方にある突起群のうち、上関節突起と下関節突起との間は椎間関節突起間部と呼ばれ、構造的にやや脆弱(ぜいじゃく)な部分に相当します。骨がまだ十分に成長しきっていない10歳代に激しいスポーツを行うと、関節突起間部に過度の負荷がかかるため骨にひびが入り、このような状態が繰り返されると遂には完全な骨折を生じ、上関節突起と下関節突起とが分離します。これを分離症といい、上体からの重みがかかる第5腰椎に生じやすい傾向があります(図:腰椎分離症)。
 椎骨は本来は、前方の椎体(ついたい)と、後方の椎弓(ついきゅう)と突起群とが椎弓根でつながり強固な構造を持っていますが、分離が生じると、椎骨は前方部分の椎体、上関節突起、横突起と、後方部分の椎弓、下関節突起、棘突起とに分れるため不安定性をきたします。その影響はしだいに椎間板にも及び変性変化が現れます。一般に腰椎全体は前弯(ぜんわん)を呈するため、下位腰椎ほど椎骨が前方に傾斜し、立位では常に前方への剪断力(せんだんりょく)が加わります。特に第5腰椎では大きな剪断力がかかるため、分離が生じた場合には、椎体が後方部分を置去りにして前方へすべることがあります。これを分離すべり症といい、中年以降の男性で多く見つかる傾向があります。
 もう1つのタイプのすべりとして変性すべり症があります。これは椎間板が変性変化によって弾力を失い、高さが減じる際に上下の椎体の並びにずれを生じるものです。中年以降の女性の第4腰椎に多くみられ、多くは前方にすべり、腰部脊柱管狭窄症の一因となります。


寺下医学事務所
「標準治療」
JLogosID : 14820744


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【この辞典の書籍版説明】

「標準治療」寺下 謙三

約570の病気の情報 (症状、診断方法、標準的な治療方法、予後、生活上の注意など)を診療科目別に掲載している 「家庭の医学事典」です。

出版社: 標準治療[link]
編集: 寺下 謙三
価格:5142
収録数: 1787疾患1565
サイズ: 21.8x15.6x6.6cm
発売日: 2006年7月
ISBN: 978-4890417162