四診
【ししん】
【東洋医学のしくみ】 3章 「証」による診断と治療 >
◆4つの診察方法
各種の弁証法とその知識を駆使して診断し「証」を決定するためには、できるだけ多く患者から判断の材料となる情報を仕入れる必要があります。そのために行うのが診察です。
順序からいえば、まず診察してから弁証するのですが、やみくもに患者を診察しても「診察結果からどう判断するか」という弁証の知識がなければ意味をなしません。弁証方法について知るのが先。本辞書の項目もその順にならっています。
東洋医学では、患者に相対したときの診察の方法を「望診・聞診・問診・切診」の4つに分け、これを「四診(ししん)」と呼んでいます。
①望診(ぼうしん)…患者の体を観察すること。全身の様子や顔色、舌などを見る
②聞診(ぶんしん)…聞くこと。患者の声、息づかい、話し方などを聞くことに加え、口臭などニオイで判断することも含まれる
③問診(もんしん)…予診票を見たり患者から話を聞くこと。過去の病歴、生活状況、細かな症状の有無、嗜好などの情報を得る
④切診(せっしん)…患部や体に直接手を触れること。手首の脈をとる「脈診」、腹部を触る「腹診」(中国ではあまり行われない)も含まれる
◆あくまでも四診がベース
この4つの方法で得た患者の情報と弁証法の知識を照らし合わせて、証を決定していきます。血液検査をしたりレントゲンを撮ったりという方法は、東洋医学専門医であれば、それが可能な中国の医師であっても参考程度にしか扱いません。あくまでも四診の情報をベースに考えるのです。
東洋医学は、現代医学とは異なる体系で成立していますから、その一部でも変えると診察から治療にいたる流れが崩れてしまいます。また、単純に思える脈診一つをとってみても実に高度な技術で、そこから多くの情報を得ているのです。
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