全国がん登録制度
【ぜんこくがんとうろくせいど】
【時事用語のABC】 医療・健康 > 技術・仕組み
日本国内でがんと診断されたすべての人のデータを、国で1つにまとめて集計、分析、管理する制度。「がん登録等の推進に関する法律」(2014年12月成立)に基づき、2016年1月から施行される。
都道府県単位で管理していた従来の「地域がん登録」制度を一歩進め、国のデータベースで一括管理に切り替わる。患者の氏名や生年月日、がんの部位、診断情報、進行度、治療経過などの情報提供を、全ての病院と指定された診療所に義務付け、病院などは患者の同意がなくても報告できることにした。
がんの種類ごとの患者数や症状に関するデータ、生存率など幅広い情報を国が一元管理し、治療法の研究や薬の開発などに役立てるのが狙い。患者にとっては医療機関の選択がしやすくなるメリットがあるとされる。
従来の制度では、全ての医療機関が登録に協力していたわけではなく、各都道府県が同意を得た一部の医療機関からの患者情報に限られていた。このためデータが不十分な上、都道府県をまたがって治療を受けたりした場合、データが重複したり、患者の情報を追跡しきれないなどの課題があった。
新制度では、病院などは、がんと診断した患者についての情報を、一定期間内に都道府県を通じて、国立がん研究センターの「全国がん登録データベース」に登録することが義務付けられた。 登録の期間は「がんと診断した年の翌年末まで」と定められている。
集められたデータは、統計の専門家が分析し、統計情報は国や都道府県のがん対策をはじめ、がん検診や治療の体制づくり、がん研究などに役立てられる。データは、国立がん研究センターのがん対策情報センターのウェブサイト「がん登録・統計」で随時公開され、誰でも閲覧できる。
登録には患者の同意は必要でなく、患者は登録を拒否できないことから、個人情報漏えいの危険を指摘する声もある。このため、情報は厳格に保護するとし、情報漏えいに対しては懲役刑を含む罰則規定が盛り込まれている。(A)2015/12/29
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