アラフィフ・クライシス
【あらふぃふ・くらいしす】
【時事用語のABC】 社会 > 社会問題
「アラウンド・フィフティティー・クライシス」の略で、直訳すれば「50代前後の危機」。50歳前後の女性が仕事や子どもの進路、親の介護などの悩みを抱えているところへ、更年期症状による身体的な不調が追い打ちをかけている状況を指す。
1986年の男女雇用機会均等法施行のころに社会人になった世代だが、職場では男女格差が思うように解消されない中で責任を押し付けられ、家庭では家族のために女性が犠牲になるのは当然といった古い価値観にとらわれることが多い。八方ふさがりの中でもがく姿を、中年世代の心の葛藤を精神医療分野で「ミッドライフ・クライシス」と呼ぶことにちなみ、日本の精神科医が「クライシス」と表現したとされる。
「アラフィフ」は、2006年ごろに生まれた30歳前後を指す和製英語の「アラサー」の派生語。2008年の新語・流行語大賞に選ばれた「アラフォー」(40歳前後)のほか、60歳の還暦前後を指す「アラカン」などの類語もある。アラサーが女性雑誌で使われたこともあり、女性を指すことが多い。
50歳前後の女性は、家庭では夫婦関係の微妙なずれが生じ、子どもの反抗期や進路などで頭を悩まされることが多い。さらに、親の介護が妻に求められるといった追い打ちがかかる。働く女性の場合は、経験豊富なベテランと位置づけられ、上司と部下との調整役を期待される。しかし両者の板挟みを強いられ、昇給、昇進がままならないことも多い。こうしたストレスに加え、身体的にはホルモン分泌の変化に伴って自律神経が不安定になり、更年期による体調不良に悩まされる。これらが重なって心のバランスを崩し、精神科を受診する女性が増えている。
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